ハンドメイドイベントで販売するとなると、搬入出からブースの設営、接客販売まで、多岐にわたる業務をすべて自分たちでこなさなければなりません。初出店の作家さんだと、経験したことのない事態が起こるため、予想もしない持ち物が必要になることがあります。
この記事では、ハンドメイドイベントに出店経験のある私が、どんな物が、なぜ必要だったかを事細かにご紹介しています。
はじめてイベントに出店するハンドメイド作家さんは、何をそろえるべきかの情報整理に役立ててください。イベントに出店経験のあるハンドメイド作家さんは、必要な物がそろっているかの最終確認にご活用ください。
絶対に必要な持ち物
まずは、イベント当日に絶対に必要になる持ち物をご紹介します。
持ち物 | 解説 |
---|---|
ハンドメイド作品 | お客様に展示・販売するために必要。 多すぎず、少なすぎない個数を用意。 |
製作材料 製作工具 |
作品の修理やパーツ交換で必要。 普段つかっているものを持参。 |
値札 | お客様に値段を示すために必要。 タグやシールタイプは予備を用意。 |
出店者パス 駐車場パス |
当日の受付や搬入出で必要。 当日に渡される場合もある。 |
什器 ディスプレイ用品 |
作品を並べるために必要。 シミュレーションして必要な什器を手配。 |
釣り銭 | 現金の支払いに対応するために必要。 価格帯から使われる通貨を予想して用意。 |
コインケース | 釣り銭を収納するために必要。 紙幣も収納できるタイプが便利。 |
領収書 | 領収書の発行を求められるため必要。 念のため「収入印紙」も用意。 |
電卓 | 会計時に支払金額と釣り銭を計算する。 金額をお客様に提示するためにも必要。 |
売上管理表 | どの作品がいくつ売れたかを管理する表。 当日の売れ行きをチェックするために必要。 |
手提げ袋 | 購入者が作品を持ち運ぶために必要。 紙製を用意する場合は雨対策を忘れずに。 |
名刺 | 仕事の関係者に挨拶するために必要。 1 日あたり10~20 枚ほど用意。 |
ショップカード | お客様にお渡しするために必要。 1 日あたり 100~200 枚ほど用意。 |
文房具類 | メモや紙ツールの製作で必要。 ノートやペンなど基本の文具を用意。 |
スマホの 充電ケーブル |
会場やホテルでスマホを充電するため必要。 会場で電源が借りられるかを事前に確認。 |
飲食物 | 買い出しの手間を省くため必携。 すぐに食べられ、ゴミが少ないものを用意。 |
掃除用具 | ブースの後片付けで必要。 ほうき・ちりとりを持って行く。 |
コンテナボックス | 搬入する荷物をまとめるため必要。 蓋つきで中身が見える透明タイプが便利。 |
これらは、通常の接客・販売業務を行うための最低限の持ち物です。作品のジャンルや会場にかかわらず必要になります。1 つでも欠けると、イベント当日に困ったり、売上に影響することがあるので、前日までにそろっているかをよく確認しておきましょう。
ハンドメイド作品
イベントには商品を売りに行くわけですから、当然、ハンドメイド作品は必要です。
用意するハンドメイド作品の個数は、出店するブースの面積から割り出します。まず「どのくらいの大きさのテーブルが置けるか、その上に何個くらい作品を並べられるか」と展示できる個数を計算してみましょう。それに売れたときの補充用を加えると、用意するハンドメイド作品の個数が分かります。
補充用の個数は多いに越したことはありませんが、多すぎると持ち物が増えて搬入が大変になります。たくさん売れ残った場合、持ち帰るのにも苦労します。多すぎず、少なすぎないちょうど良い個数を用意しましょう。
製作材料と工具
製作材料と工具は、展示している作品が壊れたり、お客様がパーツ交換を希望されることがあるため必要です。具体的には、お客様が手に取って見ているときに壊れてしまった作品を修理したり、イヤリングとピアスのパーツ交換をするとき、製作材料と工具があると助かります。ご自身が普段から製作で使用しているハンドメイド作品の工具や材料を持っていきましょう。
製作できる道具が一式そろっていれば、イベント中に新しい作品を製作することもできます。イベント当日までに在庫の用意が十分にできなくても、当日に製作ができれば在庫切れの心配もなくなります。また、作品を製作していると、その様子に興味をもって見に来てくれるお客様もいます。集客にもつながるので、製作材料と工具は必ず持っていくようにしましょう。
値札
値札は、お客様に値段を示したり、家族などの協力者が会計を手伝うときに必要です。
値札にも、作品の手前に置いて値段を示す「プライスカード」と、作品に 1 つずつ付けて値段を示すタグ・シールタイプのものがあります。
プライスカードの方が準備の手間が省けて簡単ですが、置き方によってはどの作品がどの値段かが分かりにくかったり、家族などの協力者が把握しにくいです。この場合、タグやシールタイプの値札がおすすめです。
タグやシールタイプの値札は、前日までに作品につけておきましょう。イベント当日に作品に値札をつけようとすると、うっかり間違えてしまったり、混乱してつけ忘れてしまうからです。予備の値札も忘れてはいけません。作品の運搬時や展示中に取れて紛失してしまうことがあるからです。少し多めに持っていくと安心です。
-
ハンドメイド作品の値札シールをプリンターで印刷する方法
今すぐ読む
出店者パス・駐車場パス
大規模なイベントだと、申し込み後に「出店者パス(出店者証)」が自宅に郵送されることがあります。出店者パスは、1 ブースにつき、2 枚ほど発行され、1 人 1 枚 必要になります。当日に受付したり、搬入出するときに出店者パスの提示を求められるので必ず持っていきましょう。同伴者がいる場合は、その人の分の出店者パスも忘れずに。
車で搬入できる会場だと、出店者パスと一緒に「駐車場パス(駐車場証)」も郵送されることがあります。会場の付近に一時的に停めて搬入したり、車ごと会場に入って駐車するために必要になるので、車でイベントに行く方は忘れずに持っていきましょう。
小規模なイベントだと、当日に出店者パスや駐車場パスが渡されるケースもあります。
什器・ディスプレイ用品
什器やディスプレイ用品は、作品を並べるために必要です。具体的には、作品を置くための「テーブル」、テーブルの上に敷く「テーブルクロス」、作品をディスプレイするための「棚類」、自分が休憩するための「イス」、隣のブースと仕切るための「パネル・カーテン」など。ブースづくりの土台となるので、不足のないよう持っていきましょう。
どんな什器やディスプレイ用品が、どのくらい必要かは、展示するハンドメイド作品によってまったく違います。事前にブースの面積を確認し、図に書いたりしながらブースづくりのシミュレーションを行い、必要な什器類を手配しましょう。
会場によっては、テーブルやイスなどの大きな備品をレンタルできます。レンタルすれば購入費用と搬入の負担を減らせますが、レンタル料は高めに設定されているので注意。2~3 回ほどレンタルすれば購入できてしまうことがあるので、持っていけそうなものは自分で用意するのも良いかもしれません。テーブルなどは大きくて持っていくのが大変なので、レンタルしても良いでしょう。その場合も、テーブルクロスは必須です。
自分で用意する場合は、キャンプ用のテーブルやイスが便利。コンパクトに折りたためることができ、軽量なので持ち運びもしやすいです。耐久性にも優れています。
釣り銭
お会計時、お客様が作品よりも高い額の金銭で支払うことは普通にあるので、その差額分の金銭を渡すためにも「釣り銭」は必携です。
釣り銭は、自分の作品の価格帯から、使われる紙幣や硬貨を予想して用意します。たとえば、1,500 円のアクセサリーを中心に販売するなら、お客様は 1,000 円札 2枚か 5,000 円札で支払うと予想できるので、500 円玉と 1,000 円札を多めに用意します。給料日の翌日は 1 万円札で支払う方が多いため、その場合はお札を多めに持って行くと安心です。
前日までにお釣りを用意したら、合計金額を記録しておきましょう。精算のときに役に立ちます。
なお、最近は現金以外での支払いを希望されるお客様も多いので、「キャッシュレス決済端末機」も持って行くと良いでしょう。
コインケース
コインケース(コインカウンター)は、釣り銭を硬貨ごとに分けて収納し、取り出しやすくするために必要です。
コインケースを持って行かないと、釣り銭がごちゃごちゃになって取り出しにくくなりますし、その状態だと会計が忙しくなったときに釣り銭を渡し間違えてしまうことがあります。必ず持って行きましょう。
コインケースは、硬貨のほか、紙幣を収納できるタイプが便利です。
領収書
お客様によっては、お会計時に「領収書」の発行を求めることがあるので必ず用意します。領収書には事前に押印しておくとスムーズです。念のため、「ハンコ」も持っていきましょう。
なお、原則として、消費税込みで 5 万円以上の領収書を発行するときは印紙を貼らなければなりません。作品の価格帯によっては 5 万円に達しない可能性もありますが、念のため「収入印紙」は持っていくと安心です。
電卓
電卓は、会計時に支払金額や釣り銭を計算して、その金額をお客様に提示するために必要です。自分の頭の中で計算できる金額でも、きちんと電卓で金額を提示した方がお客様も安心するので用意しましょう。
スマホにも計算機は搭載されていますが、バッテリー切れになると使えなくなったり、打ちにくいと感じるので実用的ではありません。電卓を持っていきましょう。
売上管理表
売上管理表は、どの作品をいくつ持って行き、何個 売れて、何個 残ったかをチェックし、最終的な総売上を集計するために必要です。
購入履歴がチェックできるネット販売とは違い、イベント販売は、自分で作品ごとの売上を集計しないと、どの作品がいくつ売れたか、どれくらい残ったかを把握することができません。売れ行きの良かった作品、悪かった作品を分析できなければ、次回の出店に活かすことができません。イベント出店を少しでも有意義なものにするためにも、売上管理表を作成しておき、当日の成果を振り返れるように準備しておきましょう。
売上管理表には、[商品名][販売価格][開始在庫数(持って行った数)][最終在庫数(残った数)][販売数(売れた数)][売上小計]を記録できるような書式で作成します。
イベントの当日は慌ただしいので、[商品名]や[販売価格]だけを記した簡易的な表を印刷しておき、会計時に「正」の字で記録していくだけでも大丈夫です。イベントが終わったあと、正式な売上管理表に記録を写し、詳しい分析を行うと良いでしょう。
-
ハンドメイド作品の「売上管理表」の作り方【無料テンプレートあり】
今すぐ読む
手提げ袋
手提げ袋は、購入者がハンドメイド作品を持ち運ぶために必要です。
レジ袋の有料化にともない、マイバッグを持参するお客様が増えたため、作品をそのままお渡しすることもできます。ただ、持ってくるのを忘れた(あるいは足りなくなった)お客様も少なからずいます。そういったお客様のためにも、手提げ袋は用意しておきましょう。
ショップ側で手提げ袋を用意しておけば、作品と一緒に ショップカード や サンキューカード も一緒にお渡しすることができます。作品をお渡しする際、「(袋に)ショップカードも入れておきますね。」と一言 添えると、あとで見てくれる可能性があります。
手提げ袋にも、紙製のものと、プラスチック製のものがあります。紙製の手提げ袋を用意する方は、雨対策をしておきましょう。イベント当日に雨が降ると濡れて破けてしまうことがあるからです。紙袋の上に被せるタイプの雨よけカバーを用意しておくか、雨天時はプラスチック製のレジ袋に切り替えるなどで対策しましょう。
手提げ袋の数量は、作品の点数よりも少し多めに用意しておくと安心です。
名刺
名刺は、自分のブースのまわりにいるハンドメイド作家さんや、イベントの主催者へのあいさつで使います。また、雑貨店や出版社などから声がかかり、仕事の依頼を受けることがあるので、そういったときにも名刺が必要になります。自分の氏名や連絡先といった情報を載せた名刺を用意し、相手とスムーズに連絡が取りあえるようにしておきましょう。
名刺は、ショップカード ほど多くの人に配るものではないので、1 日あたり 10~20枚くらいあれば十分です。
-
ハンドメイド作家のためのおしゃれな名刺の作り方【見本あり】
今すぐ読む
ショップカード
ショップカードは、ブースを見に来てくれたお客様や購入者にお渡しします。
ブースに来てくれたお客様にお渡ししておけば、そのときは売れなくても、次につながる可能性があります。購入者にお渡ししておけば、万が一、作品に不具合や故障があったときに問い合わせができます。お客様がお店の情報にアクセスできるよう、ネットの販売ページや SNS のアカウント情報を記載したショップカードを用意しましょう。
イベントの動員数や自分のブースの集客力にもよりますが、ショップカードは 1 日あたり 100~200枚を準備しておくと安心です。
-
ハンドメイド作家のおしゃれなショップカードを自作する方法
今すぐ読む
文房具類
文房具は、何かをメモしたいときや紙ツールを製作したいときに使います。
たとえば、販売数や客層、反省点を記録したり、お客様から受けたオーダー内容をメモする際に、「ボールペン」「ノート」「メモ帳」といった文房具が必要になります。名刺 や ショップカード に補足を書いてお渡ししたり、領収書 への記入でも筆記用具は使います。
イベント当日は売れ行きを見ながらその場で POP をつくることがあるので、「画用紙」「ハサミ」「油性ペン」なども必要になります。忘れずに持って行きましょう。
スマホの充電ケーブル
スマホは、会場へのアクセスの確認、仕事関連のメールチェック、SNS の情報発信など、何かと必要になるアイテム。イベントの途中でバッテリー切れになったら困るので、スマホの充電ケーブルは持って行きましょう。
ハンドメイドイベントによっては、電源を使用するためには有料のコンセントをレンタルしなければならないことも。その場合、レンタルするか「モバイルバッテリー」を持参するかを検討する必要があります。イベントの出店要項を確認し、電源が借りられるかを確認しましょう。
飲食物
イベントがはじまると、忙しくて席を外すことが難しくなります。タイミングよく席を外せたとしても、「近くにコンビニがない」なんてことも。昼食や飲み物を買いに行かなくて済むように、飲食物を持参しましょう。
昼食は、お弁当よりも「おにぎり」や「サンドイッチ」など、パッと食べられて、サッと片づけられるものが便利。糖分補給のために、チョコレートやキャンディといった「甘いお菓子」も重宝します。手が汚れたら困るので、「ウエットティッシュ」も忘れずに。
なお、ハンドメイドイベントによっては、会場内での飲食を禁止としていることがあります。マナー違反にならないよう、イベントの出店要項をよく確認してから飲食しましょう。
掃除用具
イベントが終わり後片付けをしていると、いろんなゴミが出ます。ゴミを放置したままブースを去ると、イベントの主催者やまわりのブースの作家さんからの印象が悪いです。掃除用具を持って行きましょう。
掃除用具は、「ほうき」「ちりとり」「ゴミ袋」があれば十分です。掃除用具はかさばるので、「ほうき」と「ちりとり」は、セットになった小型のものが会場への持ち込みに便利です。
コンテナボックス
コンテナボックスは、イベント当日に持って行くすべての物をひとまとめに収納し、会場に搬入するために必要です。
複数のコンテナボックスを用意し、「什器用」や「作品用」といった具合に種類別に分けて収納しておくと、当日のブース設営時に慌てなくてすみます。コンテナボックスは、蓋つきで、箱を開けなくても中身が見える透明のタイプがおすすめです。
実際に搬入するときは、コンテナボックスを 台車 に乗せて運搬すると良いでしょう。会場まで電車をつかって行く作家さんや、会場が台車を禁止している場合は、コンテナボックスではなく「スーツケース」に荷物をまとめます。また、コンテナボックスを宅配便で事前に送ってしまうという手段もあります。
あると便利な持ち物
続いて、イベント当日にあると便利な持ち物をご紹介します。
持ち物 | 解説 |
---|---|
キャッシュレス 決済端末機 |
現金以外の支払いに対応するため必要。 導入時は維持費や手数料をチェック。 |
ポケット型Wi-Fi | 安全かつ安定した通信の確保に必要。 コンセント不要の充電式がおすすめ。 |
キャッシュトレイ | 会計時に現金を置くために必要。 ブランドのイメージにあわせて選ぶ。 |
鏡 | お客様が作品の着用感を確認するため必要。 スタンド式と手鏡を 1 枚ずつ用意。 |
照明器具(ライト) | ブースや作品を明るくするため必要。 コンセント不要の電池式がおすすめ。 |
看板 | 一見さんにお店を覚えてもらうため必要。 お店を象徴するものを書いた看板を用意。 |
POP | お客様に作品を知ってもらうため必要。 商品名や商品説明を書いた紙を用意。 |
ポートフォリオ | お客様に作品を知ってもらうため必要。 人気作品などを写真でまとめる。 |
チラシ | 次回参加するイベント告知のため必要。 いつ、どこで出店するかを記載。 |
席外しカード | ブースを留守にするときに必要。 「只今、席を外しております」と記載。 |
ラッピング用品 | ラッピング希望のお客様のために用意。 レジ周りにサンプルを用意すると親切。 |
鴨居フック | 板などを挟んで固定するフック。 テーブルに袋を引っかけるために必要。 |
パーマセルテープ | 貼り跡が残らない高性能な紙テープ。 什器の補強やラッピングなどで必要。 |
台車 | 搬入出時の荷物の運搬に必要。 会場によって使用禁止されていることも。 |
出店マニュアル | 出店のルールとマナーの確認に必要。 すぐ確認できるよう印刷して持参。 |
常備薬 | もしもの体調不良に備えるため必要。 常備薬、頭痛薬、風邪薬などを持参。 |
ウエットティッシュ | 手を拭いたり、什器の掃除で必要。 かさ張るので携帯用がおすすめ。 |
ショルダーバッグ | 貴重品や文房具類を携帯するために必要。 販売や接客の邪魔にならないものを用意。 |
これらは、用意しなくても販売や接客業務に大きな支障はありません。ただ、用意した方が売り上げアップにつながったり、作業効率がグッと上がったりします。荷物に余裕があるなら、優先順位の高い物から用意しましょう。
キャッシュレス決済端末機
キャッシュレス決済端末とは、クレジットカードや電子マネー、コード決済などの現金以外での支払い方法に対応する端末のこと。
対面販売では、現金を持ち歩かない人や、現金で買いたくても持ち合わせがない人がいます。キャッシュレス決済を導入すれば、「現金以外で支払いたい」と考える購入層をカバーでき、機会損失を防げます。導入しなくても困ることはありませんが、販売が加速し売上が格段に上がるチャンスですので、販売機会を失いたくないなら準備しておくことをおすすめします。
キャッシュレス決済端末にもいろいろあるので、選ぶときは導入費用や維持費、手数料などをしっかりチェックしましょう。私のおすすめは「 Square リーダー 」。導入費用は、本体代金(4,980円)のみ。月額費といった維持費はかからず、振込手数料も無料。決済ごとに、手数料として、支払われた代金の中から 3.25%~ が引かれるだけです。登録や導入は簡単ですし、端末の大きさは手のひらサイズなので持ち運びに便利。キャッシュレス決済端末の導入を考えている作家さんは、ぜひチェックしてみてください。
ポケット型 Wi-Fi
ポケット型 Wi-Fi とは、持ち運び可能な小型端末を利用してインターネットに接続するサービスのこと。
郊外の会場で電波が悪かったり、イベント中に通信制限がかかってしまうと、インターネットへの接続が困難になります。インターネットに接続ができないと、仕事の連絡をチェックできなかったり、イベントの情報をリアルタイムで発信することが難しくなります。会場によっては無料のフリー Wi-Fi を提供していることもありますが、フリー Wi-Fi だと通信が安定しなかったり、セキュリティ面が心配です。そんなときに、安全かつ安定した通信が確保できるポケット型 Wi-Fi が便利。
充電するタイプであれば、コンセントがなくても使えます。「 グローバルモバイル 」というサービスでは、レンタルできるポケット型 Wi-Fi を提供しているので、インターネットをよく使う作家さんは用意しておくと良いでしょう。
キャッシュトレイ
キャッシュトレイとは、会計をするときに現金を置く小さなトレイのこと。お客様から代金をいただくとき、またはお釣りをお渡しするときに使います。キャッシュトレイがなくても特別 困ることはありませんが、用意した方が親切ですし、ブランドのイメージアップにもなります。
キャッシュトレイは、木製や真鍮、ステンレス、レザーなどさまざまな素材のものがあります。ブランドのイメージにあわせて用意しましょう。
鏡
鏡は、作品を着用したときの様子やサイズ感をチェックするために使います。アクセサリーや衣類など身に着けるタイプの作品を販売するなら必須です。
鏡は少なくとも 2 枚用意しておくことをおすすめします。2 枚あれば、混雑時にお客様をお待たせすることがありませんし、割れたときの予備としても使えます。
鏡のタイプは、スタンド式(置き型)と手鏡を 1 枚ずつ用意します。スタンド式は A4 くらいの大きめのものにします。手鏡はいろんな角度から確認できるので便利です。
照明器具(ライト)
照明器具(ライト)は、ブースを明るくして目立たせたり、作品を照らしてディテールを伝えるために必要です。特に、光があたると美しく映る作品を販売している作家さんには必要性の高いアイテムです。
屋内のイベントで照明が設置されていても、会場によっては全体が暗いことがあります。また、明るい照明が付いていたとしても、場所によっては「自分のブースだけ暗い」と感じることがあります。屋外の場合でも、天気が悪かったり、夕方になったりすると、光量が不十分で暗くなることがあります。このように、会場の明るさは事前に確認することができないので、できれば、照明器具を用意しておくことをおすすめします。
照明は、必ず電池式を用意しましょう。屋外だと電源を使えませんし、屋内であっても、電源を使うにはレンタルしなければならないからです。電池式なら、場所を問わず使えます。また、卓上タイプよりもクリップタイプの方が、ディスプレイの邪魔にならず便利です。
看板
看板は、ブースの目印として使います。ブースに看板を設置すれば、一見さんにお店の存在を覚えてもらいやすくなります。
イベントでは、ファンやブランドを知っているお客様が、自分のブースを目当てに来店することもあります。看板があれば、たくさん並ぶブースの中から見つけやすくなります。店名やブランド名、ロゴ、キャラクターなど、お店を象徴するものを大きく書いた看板を設置して目立たせましょう。
POP
POP とは、商品名や商品説明を書いた紙のことで、お客様に作品を深く知ってもらうために使います。
イベントでは、具体的にどんな作品を買うか決めずに、「その場で気に入った作品を買う」というお客様も来店します。作品のこだわりや特徴を記載した POP を置いておけば、ふらりと立ち寄ったお客様が作品に興味を持つきっかけになったり、購入を迷ったときのさいごの一押しになったりします。
対面での接客が苦手な作家さんや、ほかのお客様を接客していて手が離せないときにも POP が役に立ちます。作品ごとに用意しておきましょう。
ポートフォリオ
POP と同じで、ポートフォリオは、作品に興味をもってくれたお客様に、自分のショップをもっと知ってもらいたいときに使います。簡易的でも良いので、自分の経歴や作品づくりの思いを載せたり、人気作品やイベントでは展示できなかった作品を写真でまとめるなどしましょう。
ポートフォリオをブースに置いておけば、売り切れで展示できなくなっても写真で見せることができます。ほかのお客様を対応しているときにお渡ししたり、席を外しているときに見てもらうこともできます。
チラシ
チラシは、次回参加するイベントの告知のために必要です。次回のイベントに出店予定がある作家さんは、いつ、どのイベントに出店するかを記載したチラシを用意しておきましょう。
今回出店するイベントと、次回参加予定のイベントの距離が離れている場合、お客様が来る可能性が低いため不要です。
席外しカード
席外しカードは、ブースを留守にするときに使います。
1 人でイベントに出店するのであれば、ブースを離れることは滅多にありませんが、トイレ休憩や両替などで、やむを得ず席を離れなければならないことがあります。販売者が留守にしていることがお客様に分かるように、「只今、席を外しております。すぐに戻りますので、作品をご覧になってお待ちください。」などと書いたカードを用意しておき、緊急時に使用しましょう。
ラッピング用品
イベントでは、自分のためではなく、誰かのプレゼントを探す目的で来場するお客様もいらっしゃいます。プレゼントとして買うお客様は、ラッピングを希望します。簡易的なものでも良いので、作品の魅力が引き立ち、もらって嬉しくなるようなラッピングを考え、資材を用意しておきましょう。
「有料」と「無料」のラッピングを用意する場合は、どこで差をつけるのかを明確にしておきます。
イベント当日は、レジまわりにラッピングのサンプルを用意しておくと、お客様がイメージしやすくなって親切です。余裕があれば、用意しておきましょう。
鴨居フック
鴨居フックとは、鴨居や長押(住宅の部材)に取り付け可能なフックのこと。本来は、住宅で衣類やバッグを吊り下げるために用いられるフックですが、イベントでは、テーブルに取り付けて手提げ袋を引っかけるために使います。テーブルに手提げ袋を吊り下げておけばスペースの節約になりますし、お会計のときにサッと取り出せて便利です。
鴨居フックは、テーブルを挟んでからネジを締めるため、しっかりと固定ができます。S 字フックのように引っかける場所を探す必要もありませんし、テーブルフックのようにフック自体が落ちてしまうこともありません。持って行くと何かと役に立つので 2~3 つほど持って行きましょう。
パーマセルテープ
イベントでは、什器を補強したりテーブルクロスを固定するときに「ガムテープ」を、ガムテープの貼り跡を残せないリース品には「養生テープ」を、 POP を貼るときは「セロテープ」を、ラッピングには「マスキングテープ」を、といった具合にさまざまなテープ類が必要になります。これらすべての役を一手に担えるのが「パーマセルテープ」。
パーマセルテープとは、指で簡単にちぎることができ、貼り跡が残らない高性能な紙テープのこと。マスキングテープに似ていますが、それよりも強度に優れており、粘着力も高いです。本来は撮影に使われるテープですが、汎用性が高いので撮影以外でも活躍する万能なテープです。
パーマセルテープは「mt foto」がおすすめです。シンプルで目立たない色なので、什器の補強からラッピングまで多用途に使えます。ガムテープのような幅広のタイプもあります。
台車
イベント当日は、たくさんの重い荷物を一度に運ばなくてはなりません。その荷物をまとめ、搬入作業をラクにするのが台車です。
会場まで電車と徒歩で行く作家さんは、荷物をまとめた コンテナボックス を 2 輪台車に乗せれば、運搬の負担がかなり減ります。車で搬入する作家さんは、手押し用のハンドルがついた 4 輪台車を持って行けば、会場の荷捌き場から自分のブースまでの荷物の運搬がラクになります。荷物が多い作家さんは、会場へのアクセス方法や運ぶ物の大きさにあわせた台車を用意しましょう。
会場によっては、台車やキャリーをつかっての搬入を禁止していることがあります。出店要項をよく確認し、禁止されている場合は「スーツケース」などで搬入してください。
出店マニュアル
大規模なイベントだと、事前に出店マニュアルが配布されることがあります。出店マニュアルには、搬入のルールやブース設営時の注意点、撮影禁止エリアなど、出店に関するルールとマナーが記載されているので持って行きましょう。
出店マニュアルは、出店者パスと一緒に郵送されるか、出店者用の専用ページで閲覧ができます。ネットで閲覧できる場合も、すぐに確認できるように印刷して持って行くことをおすすめします。
常備薬
イベントに連日出店したり、前泊する作家さんは、慣れない移動や接客の疲れなどで体調を崩しやすいです。イベントは長期戦ですし、自分の代わりがいないので、途中で体調不良になったら販売業務を停止しなければなりません。そんなことにならないよう、常備薬はもちろん、頭痛薬や風邪薬を持っていくと安心です。私は疲労で肌荒れするので、ビタミン B 群のお薬を常に持って行きます。
ウエットティッシュ
ウエットティッシュは、昼食を食べたあとに手を拭いたり、テーブルや什器を掃除するときに活躍します。イベント当日はなかなか席を離れることができず、手を洗いにトイレに行くことができないので、ウエットティッシュがあると便利です。
ウエットティッシュは意外とかさ張りますし、大容量タイプを持って行ってもイベントで使い切ることはありません。携帯用の少量パックを持って行きましょう。
ショルダーバッグ
ショルダーバッグは、肌身離さず持っておきたい財布や釣り銭などの貴重品のほか、すぐに取り出したい文房具類や名刺・ショップカードを携帯するために必要です。荷物はレジまわりにまとめて置いておくのでも問題ありませんが、そのたびに取りに行くのは面倒です。ショルダーバッグでよく使うものを携帯するとムダな動作が省けます。
屋外イベントで必要な持ち物
屋内のイベントとは違い、会場が屋外だと屋根も空調設備もありません。そのため、天候や気温に左右されない快適な販売環境を整えることが大切です。
会場の様子やイベント当日の天候・気温をチェックして、次のような持ち物を必要に応じて持って行きましょう。
持ち物 | 解説 |
---|---|
タープテント | 日差しや雨を防ぐために必要。 区画内を最大限利用できる大きさを選ぶ。 |
アウトドアワゴン | 搬入出時の荷物の運搬に必要。 運ぶ物の大きさに合ったものを用意。 |
突風対策 | 強風で作品や什器が転倒するため必要。 紐や重しを用意。 |
雨対策 | 雨風でブース内が濡れるため必要。 タープテントのサイドカーテンを用意。 |
暑さ対策 | 熱中症や日焼けを予防するために必要。 帽子やネックファンを用意。 |
虫よけグッズ | 虫刺されを防ぐために必要。 無香料タイプがおすすめ。 |
寒さ対策 | 寒さによる体調不良を防ぐために必要。 ひざ掛けやカイロ、温かい飲み物を用意。 |
モバイルバッテリー | スマホの充電切れを防ぐため必要。 当日に 100 %まで充電しておく。 |
これらは、「絶対に必要な持ち物」「あると便利な持ち物」に加えて必要になる持ち物です。屋外のイベントでは必然的に持ち物が多くなるので、優先順位の高い物から順にそろえていきましょう。
タープテント
タープテントは、ブース内に日差しや雨が降り注がないようにするために絶対に必要です。イベントによっては、出店料にタープテントの料金が含まれており、会場側で設営したタープテント 1 台分が売り場スペースとされていることがあります。自分で用意するのか、会場側が用意するのかをよく確認しましょう。
タープテントを選ぶときは、必ず広げたときの幅を確認します。イベントでは 1 人分のブースの広さが決められており、それを超えるようなタープテントは設営できないからです。逆に小さすぎると売り場スペースも狭くなってしまうので、自分が与えられたブース面積を最大限に活かせるような大きさを選ぶようにしましょう。
タープテント選びでは、サイドカーテンがつけられるかどうかも重要です。サイドカーテンがないと、太陽の位置やブースの場所によっては、日光が横から入ってきて、ブース内が日陰にならないからです。また、突然の雨や風が横から入ってきて、作品が飛ばされたり濡れてしまうこともあります。サイドカーテンがあれば、横からの日光や雨風をしっかり防げます。
1 人でブースを設営する作家さんは、フレームを広げ、シートを被せるだけで使える「ワンタッチタープ」がおすすめ。重量があるものの、組み立てが簡単なので慣れれば 1 人でも素早くタープを設営できます。
アウトドアワゴン
会場が屋内であれば、荷捌き場から自分のブースまでの道が舗装されているため、台車 を使えば荷物の搬入ができます。会場が屋外だと、自分のブースまでの道が舗装されていないことが多く、台車で荷物を運ぶのが困難です。そんなとき、キャンプでよく使う「アウトドアワゴン(キャリーワゴン)」が便利。不安定な地面でも引きやすく、搬入作業がラクになります。
突風対策
屋外のイベントでは、突然、強い風が吹くことがあります。強い風が吹くと、作品や紙幣が飛んで行ったり、テーブルクロスがまくれ上がって什器がずれたり倒れたりします。鏡を設置していれば、倒れて割れたりもします。強風でブースのレイアウトが崩れたりお客様に迷惑がかからないよう、突風対策をしましょう。
具体的には、紐でテーブルクロスで固くしばって浮かないようにしたり、軽い作品や紙幣が飛ばないように重しをつかうなどの対策が有効です。
雨対策
イベント当日は急に雨が降ることがあります。雨風によってブース内が濡れてしまわないよう、タープテントの横に取り付ける「サイドカーテン」を用意しましょう。取り付けられない場合は、「シャワーカーテン」を用意しておくと良いでしょう。また、地面がぬかるんで靴が汚れることも考えて、「レインブーツ」などもあると安心です。
そもそも、雨が降ると動員数が減って赤字になったり、作品や什器が濡れるなどのリスクがあるので、事前に雨が降ると分かっているのなら、キャンセルすることも検討しましょう。
暑さ対策
イベントの開催時期が夏だと、日差しが強く気温も高いので、熱中症や日焼けを予防することが必須となります。
真上からの日差しに関しては、タープテント を設置すれば防げます。ただ、日が傾くと横から日差しが入ってくることがあります。それを遮るためにもタープテントの横に取り付ける「サイドカーテン」を用意しておくと良いでしょう。会場までのアクセスや、会場内の移動のときのためにも「帽子」があると安心です。首に掛けるタイプの扇風機「ネックファン」は、両手が自由になるので便利です。
体温調節しやすい服装で行くことはもちろん、涼しく過ごせる環境を整えましょう。
虫よけグッズ
開催時期が春~夏で、会場が屋外だと、虫に刺されることがあります。害虫予防シートや虫よけスプレーを用意しておくと安心です。
ニオイの強い虫よけグッズはお客様の好みが分かれるので、無香料タイプがおすすめです。スプレータイプを持参する方は、風向きによっては自分の作品や隣のブースにかかってしまうことがあります。この場合、手のひらに一度スプレーして、ローションを塗る要領で肌になじませると良いでしょう。
寒さ対策
イベントの開催時期が冬だと、気温が低いため厚着をして行くと思いますが、ブースは吹きさらしになっているため、長時間 同じ場所でほぼ動かずにいるとかなり寒く感じます。ひざ掛けやカイロ、手袋、イヤーマフのほか、温かい飲み物などでしっかりと防寒しましょう。
モバイルバッテリー
屋外のイベントでは電源が使えないことがほとんど。そのため、スマホを充電するための「モバイルバッテリー」は必須。あわせて、スマホの充電ケーブル も忘れずに持って行きましょう。モバイルバッテリーもスマホも、イベント当日に 100 %まで充電しておくと安心です。
まとめ
ハンドメイドイベントに出店してみると、実にさまざまな持ち物が必要になると痛感します。イベントの当日に困ることのないよう、少しでも必要だと思った物は前日までにきちんと揃えておきましょう。
ただ、当日に持って行ける荷物の量には限界があります。まずは、「絶対に必要な持ち物」を一通りそろえ、どれくらいの余裕があるかを見て、「あると便利な持ち物」の中から優先順位の高い持ち物を順に用意すると良いでしょう。
また、イベントに 1 度 出店すれば、「何が必要で、何が足りないか」が分かってきます。当日の反省点はきちんと次回のイベントに活かせるようこまめにメモしておきましょう。