ハンドメイド品をつくるとき、自分の手芸品は「作品」なのか、それとも「商品」なのか…と疑問に思ったことはありませんか?
多くのハンドメイド作家さんは、自分の制作物を「作品」として認識しているかもしれません。たしかに、時間をかけて丁寧につくっているので、作品という考え方も間違いではありません。
けれども、販売するのであれば、自分がつくった手芸品を「作品」ではなく、「商品」であると意識することが大切です。
この記事では、作品と商品の違いについて具体的に解説するとともに、なぜ、ハンドメイド作家は自分の製作物を「商品」と意識することが大切なのか?をお伝えします。
「作品」と「商品」の違い
「作品」とは、芸術性が高い制作物で、アーティストやクリエイターが生み出すもの。一方、「商品」は売ることを目的とした製作物で、需要に対して安定供給することを重視します。
作品は芸術的な制作物
作品とは、次のような考え方の制作物をいいます。
- 芸術性が高い制作物
- 自分がつくりたい物を生み出す
- 高い完成度を追求する
- 大量生産できない
作品は、芸術性が高く「こだわり」の強い制作物。自分の想いをひとつの「作品」というカタチにして、多くの人にメッセージを発します。売ることを目的としないため、そこに需要があるか?は関係ありません。自分のつくりたい物を、とことん「こだわって」つくります。
1点の制作にじっくり時間をかけるので、大量生産はできません。作品によっては高値がつくこともありますが、売れるのは本格的に学んだプロか、輝かしい才能をもった人のみ。
わかりやすい例を挙げると、美術館に飾られる絵画です。芸術的で1点ものとしての特別感や価値のある制作物、それが「作品」です。
商品は販売目的の製作物
商品とは、次のような考え方の製作物をいいます。
- 売ることを目的とした製作物
- お客様が欲しい物をつくる
- 価格に見合った仕上がりにする
- 効率よく製作し、安定供給する
商品は、実用的で商業的な製作物。売る相手(ターゲット)を明確にして、その相手が求める物をカタチにします。販売が前提であるため、相手の需要に応え、その価値を認めてもらい、喜んでもらうためにつくります。自分本位ではなく、お客様の存在を大切にしてつくるのが「商品」です。
商品には、美術品としての芸術性や完成度よりも、製品としての実用性や安全性が求められます。作品が「美術館に飾られる絵画」だとしたら、商品は「百貨店に並ぶ雑貨」といったところでしょうか。
ハンドメイドは「作品」か?
自分がつくった物を「商品」と呼ぶか、「作品」と呼ぶかは、その人の自由かもしれません。ですが、呼び方ひとつで、作り手の意識もガラリと変わります。
ハンドメイド作家として長く続けたいなら、自分のつくった物を「作品」ではなく「商品」であることを意識して取り組みましょう。
「商品」と考えるべき理由
売ることを前提とするなら、自分の製作物は「作品」ではなく「商品」と考えなければなりません。なぜなら、商売においてお客様の存在は無視できないからです。
好きな物を好きなようにつくるだけでは、独りよがりになってしまいます。どんなに芸術性が高くても、つくった物をほしいといってくれるお客様がいなければ、商売として長くは続けられません。
「ハンドメイド作家として稼ぎたい」「本業(副業)にしたい!」と考えているなら、需要に応える物づくりを意識し、販売しましょう。そのためには、自分の製作物を客観視して、この商品をほしいか?お金を払う価値があるか?を冷静に判断してください。
「作品」と考えるのは危険
もし、あなたが売ることや稼ぐことを前提としていない、趣味の延長でハンドメイド作品を販売するのなら、自分のつくった物を「作品」と考えるのも良いでしょう。
稼ぐことよりも、「自分の"こだわり"を大切にしたい」「作品に込めたメッセージを誰かに届けたい」といった気持ちの方が強いのなら、自分がつくりたい物を、自分のつくりたいときに、自分のつくりたい数だけつくって売れば、楽しく続けられるかもしれません。
しかし、「売りたい」「稼ぎたい」という気持ちの方が強いなら、自分本位につくるのは危険。お客様の存在を無視して、自分のやりたいようにつくっていても、そこに需要がなければ決して売れないからです。自分のやりたいようにつくって高値で売れるのは、一握りの天才だけです。
もちろん、ハンドメイド作品にも芸術的な要素はあります。作家独自の技術やセンスまで捨ててしまえば本末転倒。なにより、機械的につくるのは楽しくありませんよね。ですので、「作品」という特別感をベースにもちつつ、売るために「商品」をつくるという心構えが、ハンドメイド作家として大切なのです。
まとめ
「作品」は芸術的で1点ものとしての特別感がある制作物で、「商品」は売ることを目的とした製作物。前者は自分がつくりたい物をつくり、後者はお客様がほしい物をつくります。
ハンドメイド作品は、「自分がつくりたい物をつくる」という側面を持ちますが、販売となると、自分本位ではいられません。お客様がどんなものを欲しいと思っているか?を意識して製作しなければ売れないのです。
もちろん、ハンドメイド作品にも芸術的な要素はあります。ですので、大切な「作品」である気持ちをもちつつ、商業的に成功するために「商品」をつくるという心構えが、ハンドメイド作家として大切なのです。