ハンドメイド作品を作っているとき、「手元が暗くて見えにくいな」と思った経験ってありませんか?
特に、仕事終わりや子どもが寝静まったあとの夜間にハンドメイド制作をする方で、部屋の照明で作業するときに、こんな風に感じるのではないでしょうか。
細かい作業が多いハンドメイド制作って、室内の明かりは大事ですよね。
そこでこの記事では、ハンドメイド制作をするときは、どれくらいの明るさを確保するべきなのか?詳しく調べてまとめました。ご参考になれば幸いです。
この記事は、「パナソニック照明設計サポート」を参考にしました。
手芸における明るさの必要性
手芸をするときに「明るさって大事だな」と思った瞬間があります。
私個人としては、明るいと
- 活動的になる(やる気アップ)
- 制作物の精度が上がる
- 目が疲れにくくなる
と感じています。
暗い中での作業って、やる気が出ませんよね。それに、細かい作業が多い手芸では、手元が暗いと正確さに欠けます。一生懸命見ようとすると、目が疲れます。
だからこそ、手芸においては照明による明るさの確保が重要だと考えます。
手芸に必要な明るさは1500lx
生活シーン別の必要な明るさ(lx)は次の表の通りです。
生活シーン | 若年層 | 高齢層 |
手芸・裁縫 | 750~1500lx | 1500~3000lx |
勉強・読書 | 300~750lx | 600~1500lx |
調理・化粧 | 300~500lx | 500~1000lx |
浴室・洗濯 | 150~300lx | 300~600lx |
参照:JISZ9110
JIS照明基準総則によると、手芸・裁縫・ミシンの作業に必要な照度は750~1500lxとされています。
高齢者は、読み書きや手先の細かな作業では、若年層に比べて約2倍の明るさが必要になると言われています。
高齢者は若年者よりも高い照度を必要とします。どの程度が適当であるかについては、CIE(1975年)では全般的に若年者の2倍程度を、照明学会の「新時代における照明の調査研究(1984年)では、作業照明についてのみ提唱して、若年者の1.5倍程度としています。
出典:https://www2.panasonic.biz/ls/lighting/plam/knowledge/document/0215.html
そのため、高齢者が手芸や裁縫をする場合は、1500~3000lxが必要です。
「lx」とは?
「lx(読み方:ルクス)」とは照度の単位で、光を受ける面の明るさを表します。
床やテーブルなど照らされている箇所が、どれくらい明るいか?を数値で表すために用いられます。たとえば、「床が500lx」であれば、「この部屋の床は天井の照明によって500lxの明るさになっている」と理解できます。
1500lxの電球ってある?
lx(ルクス)は光を受ける面の明るさを表す単位ですので、「1500lxの電球」などは存在しません。
なぜなら、すごく明るい電球を買ったとしても、その照明器具から照らされている面がかなり離れていれば、lx(ルクス)が落ちるためです。
たとえば、電球から1cmの距離と、電球から50mの距離では、光を受ける面の明るさが全然違いますよね。1cmだとすごく明るいためルクスの数値もすごく上がります。逆に、50mも離れているとほとんど光が当たらないためルクスは0に近いかもしれません。
なので、電球は「1500lx」などと表記することができないのです。
実験!手元を1500lxにするには?
暗い部屋で手元を1500lx以上にするには、照明を使います。
ただ、前述した通り電球は1500lxなどと表記ができないため、なるべく明るい電球を買って部屋や手元を照らし、1500lx以上の明るさを確保します。
で、実際にどうやれば手芸に必要な明るさ1500lxを確保できるのか?家にある照明を使って実験してみました。
照度を測定するのには、岩崎電気が配信している高性能の照度計アプリ「QUAPIX Lite」を使います。
測定時はお昼にも関わらず、曇りで部屋の中は薄暗く、とても作業に向いている明るさではありません。
なので、照明で最低でも750lx、できれば1500lxの明るさを確保したいところ。
家では、天井にスポットライトを付けています。
天井のスポットライトで作業をするテーブルを照らしてみると、わずか40lxしかありませんでした。
これでは、手芸に必要な明るさ1500lxには程遠いので、手元を直接照らす照明器具を使いました。
IKEAで売っているフロアスタンドです。
このフロアスタンドの電球は、明るさ「400lm」、消費電力「6W」、色温度「2700K」。
この照明器具をテーブル面から70cmほどの高さに設置し、点灯したところ、1050lxの明るさが確保できました。
1500lxには及びませんでしたが、それでも天井の照明だけよりも明るくなったので見やすさはアップしました。
ただ、照明の光の色がオレンジ色で、ちょっと見難いと思ったので、白っぽい光の電球に変えた方が良いと思いました。
手芸をするときの照明のポイント
手芸など細かい作業を伴うときの照明のポイントは次の通り。
- 手元の明かりを1500lx以上にする
- 昼光色(白っぽい光)の電球を選ぶ
- デスクスタンドなどの照明を使う
手元の明かりを1500lx以上にする
前述の通り、手芸・裁縫・ミシンの作業に必要な照度は750~1500lx、高齢者は2倍の1500~3000lxが必要です。
部屋の広さや照明器具の形、電球の明るさなどによって、手元の明るさ(lx)は異なります。そのため、一概に「こうすれば1500lxになる」とは言い切れません。
ですので、なるべくlm(ルーメン)が高い電球を選び、手元の近くに照明器具を置いて、明るさを確保すると良いでしょう。
昼光色(白っぽい光)の電球を選ぶ
電球には、主に「電球色」「昼白色」「昼光色」の3種類の光の色があります。
「電球色」はオレンジ色っぽい光で、くつろぎたいときに使います。「昼白色」は太陽の光に近い自然な色で、メイクをするときなどに適しています。「昼光色」は青白く爽やかな色の光で、細かい作業や小さな文字を読むのに適しています。
先の実験でも、電球色の電球(2700K)を使いましたが、結構見えにくかったです。
よって、細かい作業の多い手芸では「昼光色」の電球で手元を照らしましょう。
手元を照らす
手芸・裁縫・読書など、細かいものや対比の少ないもの、および動くものを対象とした視作業には、特に高照度が必要になります。このため、部屋全体を照明(全般照明)するための照明器具とは別に、その視作業範囲だけを照明(局部照明)して必要な照度を確保するための照明器具を設置する
出典:https://www2.panasonic.biz/ls/lighting/plam/knowledge/document/0215.html
上記にある通り、手芸や裁縫をするときは「部屋全体の明るさ」とは別に「手元の明るさ」も確保する必要があります。たとえば、部屋が明るくても手元が陰になったりして少し暗いと見えにくくなります。
そのため、手芸のときは「デスクライト(勉強などでよく使う照明)」や「フロアスタンド」で手元も明るくすると良いでしょう。
まとめ
細かい作業を伴うハンドメイド制作では、照明で十分な明るさを確保する必要があります。部屋が暗くいとやる気が出ませんし、正確さに欠けます。
照明のポイントは、部屋全体の明るさの確保はもちろん、デスクライトなどで手元も照らすこと。こうすることで、手芸に必要な明るさの目安「1500lx」に近づけます。
また、照明の色がオレンジ色っぽいと作業に向いていないので、青白く爽やかな色の光を放つ「昼光色」を選ぶと良いでしょう。