キャラクターがプリントされた生地は、「著作権」で保護されています。著作権者に許諾を得ずに商用利用すると、著作権の侵害となります。つまり、キャラクター生地でつくったハンドメイド品の販売は違法です。
この記事では、著作権とはどんな権利か?といった基本的なことから、権利侵害した場合の罰則、キャラクター生地の利用範囲について詳しく解説します。
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「著作権」とは
手芸店などで売られている、キャラクターがプリントされた生地は「著作物」です。著作物は「著作権」で保護されているので、著作権者の許諾を得ずに商用利用すると、著作権侵害になります。
キャラクターというものは、具体的に表現することで著作権で保護されます。その結果、具体的に表現されたキャラクターは自由に使えないということになるのです。
出典:TOPCOURT
著作権は知的財産権のひとつで、作品を創作した人に対して、法律によって与えられる権利のこと。自分の考えや気持ちを作品として表現した著作物を保護し、著作者の努力や苦労に報いると同時に、利用者がどのように扱うべきか?といったルールを定めています。
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キャラクター生地はハンドメイド販売に使える?
キャラクター生地はハンドメイド販売に使えません。たとえば、キャラクター生地でバッグをつくり、ネットで販売すると、著作権侵害となります。
著作物の無断使用は違法
著作物を商用利用するには、著作権を譲渡してもらうか、著作権者から利用許諾を得なければなりません。ただ、個人が著作物を譲渡してもらったり、利用許諾を得るのは難しく、現実的ではありません。
著作権者の許可なく商用利用すると、著作権の侵害となります。つまり、著作物であるキャラクター生地を、著作権者に無断でハンドメイド販売に使うと、著作権の侵害となってしまいます。
原則として、権利侵害の恐れがあるため、キャラクターがプリントされている生地や素材を使った作品、またはそれ自体の販売・展示は禁止しております。
キャラクター生地を利用した商品は出品可能ですか?
A.出品できません
知的財産権を侵害する商品に該当する可能性があるため、出品を禁止しています。出典:メルカリガイド
ハンドメイド作品を販売する場合は、商用利用できる生地を使いましょう。
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違法となるハンドメイド品の例
著作権をはじめとした知的財産権の侵害に該当するハンドメイド品の販売は違法です。
具体的には、以下のようなハンドメイド品は権利侵害の可能性が高いので、販売はやめましょう。
- キャラクターやデザイナーズファブリックを使用
- キャラクターをイメージした商品(ファンアート)
- キャラクターと酷似している商品
- キャラクターを自分で印刷した商品
- キャラクター名をタイトルや説明文に記載
キャラクターやデザイナーズファブリックには、生地の耳やタグに「著作権マーク(©)」や「このプリントは契約により製品化して販売することは禁じられております」と記載があります。
著作権で保護された素材は、商用利用できません。著作権マークや商用禁止の記載がなくても、商用利用ができないこともあります。わからなければ、販売元に確認しましょう。
また、キャラクター名を無断で使用することも禁止されています。
権利侵害の恐れのある文言(ブランド名やキャラクター名)などを作品名や、作品説明に記載することは、禁止しております。権利を侵害するような模造作品も禁止しております。
キャラクター名の無断使用は著作権ではなく、商標権の侵害となります。
著作権侵害した場合の罰則
著作権を侵害すると、重い罰則が科せられます。実際に逮捕されたケースもあります。
懲役または罰金
ハンドメイドマーケットやフリマアプリに権利侵害の恐れがある商品を出品すると、商品ページが削除されるだけではなく、アカウントが利用できなくなる可能性があります。
事務局が禁止出品物に該当すると合理的な理由に基づき判断した場合は、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置を取る場合があります。
出典:メルカリガイド
悪質な場合、著作権法119条に基づき、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処せられ、懲役と罰金がともに科せられることもあります(著作権法119条1項)。
逮捕された例
次のように、キャラクターの無断使用などで、実際に書類送検や逮捕された事例もあります。
人気漫画「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」のキャラクターを無断であしらったマスクカバーをインターネット上で売ったなどとして、警視庁は21日、静岡県三島市のアルバイトの男(66)を著作権法違反(頒布及び頒布目的所持)の疑いで、東京地検に書類送検した。
出典:朝日新聞デジタル
人気キャラクター「スヌーピー」のデザインと文字を使用した類似商品を販売したとして、奈良署は14日、商標法違反と不正競争防止法違反の疑いで、大阪市旭区生江、無職、上田小夜香容疑者(34)を逮捕した。
出典:産経ニュース
もし、キャラクターを無断使用したハンドメイド品を出品しているのなら、速やかに販売を中止しましょう。
売らなければキャラクターは使える?
ここまで、キャラクター生地をハンドメイド販売に使うことを前提に、その違法性について解説してきました。では、売らなければ違法にはならないのでしょうか?
ここでは、著作物は、どの範囲まで使用できるのかの基準を解説していきます。
個人利用やプレゼントならセーフ
著作権法30条1項には、「自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することができる」とあります。つまり、趣味として、自分で使うために著作物を複製する程度なら違法にはなりません。
参考:JASRAC
また、著作権法26条2項には「譲渡権」という、無断で公衆に譲渡されないための権利があります。この権利が適用されるのは、「公衆」向けに譲渡する場合のみ。「特定少数の人」へのプレゼントのような場合には、この権利は適用されません。ですので、家族や友だちにプレゼントする程度なら違法にはなりません。
参考:著作権法第26条の2
売らなくてもネットで公開すると違法
著作物を用いたハンドメイド品は、個人利用や友だちへプレゼントする程度なら問題ありません。ですが、著作物をSNSや動画投稿サイトに公開すると、公衆送信権などさまざまな権利の侵害になります。
イラストを使ったハンドメイド作品の場合、制作した時点で、複製権(21条)または翻案権(27条)侵害が成立。その後、作品を写真撮影した時点で複製権、メルカリなどにアップロードした時点で公衆送信権、譲渡した時点で譲渡権(26条の2・1項)侵害になると考えられます
出典:BuzzFeed
「売らないからセーフ」ではなく、著作物を公衆に向けて発信する時点で権利侵害となります。
また、ネットに公開しなくても、公衆に向けてプレゼントする行為は「譲渡権」の侵害となるので注意してください。
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まとめ
キャラクターのプリント生地は著作物であり、著作権で保護されています。著作権は私的利用のための複製は許されていますが、販売に関しては、程度にかかわらず認められていません。
著作権者の許可なく販売してしまうと、著作権侵害で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処せられます(著作権法119条1項)。ハンドメイド作品を販売するなら、商用利用可の素材を用いましょう。