ハンドメイドマーケットやフリマアプリでは、時折、著作権を侵害しているハンドメイド品を目にします。TwitterやInstagramといったSNS、YouTubeなどの動画投稿サイトでも、著作権を侵害している投稿をよく見かけます。
著作権侵害は犯罪で、許される行為ではありません。
では、著作権を侵害しているハンドメイド品を目撃した場合、私たちはどこに、どうやって通報するべきなのでしょうか?この記事では、その通報手順を詳しくご紹介します。
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著作権侵害の判断基準
著作権侵害が疑われるハンドメイド品を見つけたら、通報する前に、そのハンドメイド品が本当に著作権を侵害しているかを確認しなければなりません。単純に「似ているから」という理由だけでは著作権侵害とは認められないため、通報しても対処してくれません。
著作権侵害であると判断するには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 対象作品が著作物である
- 著作権が存続している
- 著作物に依拠して作成されている
- 著作物と類似性がある
著作権侵害と判断するためには、「依拠」と「類似性」が必要です。「偶然、似てしまった」「なんとなく、似ている」といった理由では、著作権侵害は認められません。
参考リンク:著作権侵害の成立要件
キャラクターの素材でつくったハンドメイド品は、あきらかに権利侵害です。こういったハンドメイド品を発見したら、すぐに「通報手順」に沿って対処するといいでしょう。
「この人の作品、私のハンドメイド作品に似てる!」といった理由では、著作権侵害が認められるケースはほとんどありません。ハンドメイド作品が著作物と認められるには、デザインを客観的に観察し、美術品と同等に評価できるくらい美的鑑賞の対象になると判断された場合のみ。一般的なハンドメイド作品が著作物と認められることはないので、著作権侵害を訴えても対処してくれる可能性は低いと考えてください。
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著作権侵害の通報手順
フリマアプリやハンドメイドマーケットで、著作権侵害しているハンドメイド品が出品されていたら、次の手順で対処してください。
それぞれ、簡潔にご紹介していきます。
1. 証拠をおさえる
まずは、証拠を確保してください。作家本人に問い合せたり、サービス提供会社に申し立てる際に、不正利用の証拠が必要になります。
インターネットで発見した場合は、URLをメモするだけではなく、ページに掲載されている写真を保存したり、画面キャプチャ(スクショ)すると良いでしょう。日付も重要なので、証拠に含まれているか確認しましょう。
2. 出品者に問い合わせる
証拠をおさえたら、その作品を出品しているハンドメイド作家に、著作権侵害である旨を伝えましょう。ハンドメイドマーケットやフリマアプリなら、作家にメッセージを送る機能が備わっています。ネットショップなら、問い合わせフォームから連絡がとれます。
問い合わせるときのポイントは、やさしく指摘してあげること。著作権侵害しているハンドメイド作家は、著作権に関しての知識が少なく、知らずに権利侵害していることがほとんど。悪意のない相手にいきなり厳しく非難しても、話しが こじれたり、余計なトラブルを生むだけです。
以下に問い合せ時の例文を掲載するので、指摘する際の参考にしてください。
○○様
はじめまして。△△と申します。
○○様が出品しているハンドメイド作品について確認したいことがあり、ご連絡させていただきました。
フリマアプリ「××」に出品している◎◎というハンドメイド作品ですが、●●というキャラクターに酷似しております(著作物を無断で商用利用しております)。
もし、著作権者に無断で利用しているのであれば、早急に該当商品を削除していただくようお願いいたします。
それでは、ご対応をお待ちしております。
誠実な相手であれば、誠意をもってすぐに対処してくれます。
必要であれば、証拠も提出します。
3. サービス提供会社に通報する
minneやメルカリなどのサービス提供会社では、利用規約で著作物を侵害する商品の出品を禁止しています。そして、著作権侵害のおそれがある商品を発見した際の連絡手段も用意されています。各サービス提供会社が定めた問い合わせ方法で通報しましょう。
規約違反に該当する作品を発見された場合は、お問い合わせより、ご用件の「規約違反作品の連絡」を選択して、必要項目を記載の上ご連絡ください。
通報するときは、通報用のフォーマットが用意されているかと思います。そちらに沿って報告してください。フォーマットが用意されていないときは、該当商品の出品者・商品名・商品ページURL・証拠画像などを報告してください。
4. 著作権者に連絡する
あなたが著作権者ではなく、著作物の無断利用を発見した場合、著作権者に連絡するという手段もあります。
先ほど、発見者が出品者に直接 連絡したり、サービス提供会社に通報する手段をご紹介しましたが、それだと商品削除といった事務的な対応で終わってしまいます。
「著作者のために、自分で何とかしてあげたい!」という気持ちもわかります。ただ、どう対処するかは権利者が決めればいいので、発見者は著作権者に連絡するにとどめ、あとは本人に対応を任せるのもひとつの方法。
悪質であれば著作権者が訴えることもできますし、軽度であれば注意程度で事が足ります。また、その事例を元に、著作者のSNSアカウントから注意喚起することもできます。いずれにしても、どう対処するかは被害者である著作権者が判断すること。周囲が過度に干渉するのは避けた方が良いでしょう。
5. 弁護士などの専門家に相談する
あなたが著作権者であり、自分の著作物が無断で利用されていたのを発見したり、周囲から指摘があった場合は、弁護士に相談しましょう。
通常は、権利侵害している相手に出品などの削除を依頼すれば、謝罪とともに出品を取り下げます。相手が削除依頼に応じなかったり、悪質だった場合、裁判にまで発展することがあります。個人では対応が難しいので、弁護士に相談すると良いでしょう。
弁護士に相談するときは、「相談したい分野に力を入れているか」「相談料がいくらかかるか」といったことが重要になってきます。日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」では、悩みの分野を取り扱う弁護士を、実績や費用などから探せます。まずはこちらから条件にあった弁護士を探すと良いでしょう。
まとめ
著作権の侵害が疑われるハンドメイド品を目撃したら、まずは、そのハンドメイド品が本当に権利侵害をしているか確認してください。
著作権侵害を確信したら、証拠をおさえ、出品者か出品サイトに商品を取り下げるように連絡するか、著作権者に直接報告し、本人に対応を任せましょう。あなたが著作権者であれば、弁護士などの専門家に相談し、今後の対応を決定することをおすすめします。