「BASE」や「STORES」、「メルカリショップス」などのネットショップ作成サービスの登場により、個人でもカンタンに、無料でネットショップがつくれるようになりました。
関連記事:【人気4社比較】ハンドメイドのネットショップ開業でおすすめは?
ネットショップ作成のハードルが下がった分、注意したいのが「法律」。
ネットショップで販売できるものの中には、「販売許可」が必要なものがあります。また、販売できたとしても法律上、宣伝文句に制限があるものもあります。これらを知らずに販売をすると、法律違反で罰則や罰金が課されることも。
せっかく稼ごうと思ったのに、法律で罰せられたら本末転倒。
そんな失敗をしないためにも、ネットショップ運営者として知っておきたい法律を「すべてのネットショップに関係する法律」と「販売する商品によって関係する法律」に分けて計9つご紹介します。
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すべてのネットショップに関係する法律
まずは、すべてのネットショップ運営者にかかわりのある以下4つの法律についてご紹介していきます。
- 特定商取引法:運営者の住所氏名をショップ上に記載する
- 個人情報保護法:お客様の個人情報は慎重に取り扱う
- 知的財産権:他人のつくったモノやアイデアを無断利用しない
- 景品表示法:虚偽の内容を記載せず、正確な情報を記載する
これらは、どんな商品を扱うにしても知っておかなければならない法律です。
詳しく解説していくので、1つずつしっかりチェックしましょう。
特定商取引法
法人であっても、個人であっても、ネットショップには必ず特定商取引法に基づく表示を実施しなければなりません。
特定商取引法とは?
特定商取引法は消費者を保護するための法律で、インターネット、郵便、電話などの通信手段によって申し込みを受ける取引や、通信販売に従事する場合に適用されます。
「事業者の氏名、住所、電話番号」「販売価格、代金の支払い時期、送料、納期」「返品に関する規定」などをネットショップ内に明記する必要があります。
参考リンク:特定商取引法とは(消費者庁)
ネットショップ運営者の対応
ネットショップ運営者は、「特定商取引法に基づく表記」というページをつくって、そこに運営者の氏名や住所などを載せる必要があります。
BASEやSTORESなどのネットショップ作成サービスでは、特定商取引法に基づく表記のテンプレートが用意されています。そのフォームに沿って入力すればカンタンに特定商取引法のページが作成できるようになっています。
関連記事:住所省略できる?STORES「特定商取引法」の正しい書き方
注意したい違反例
注意点は、虚偽(ウソ)の内容を書いてはならないこと。「自宅住所を載せるのが怖い」からと言って架空の住所を書くと、特定商取引法に違反します。
身バレが怖い方は、バーチャルオフィスの利用を検討してみてください。
関連記事:ハンドメイドのネットショップで住所を知られたくない!非公開にできる?
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個人情報保護法
ネットショップ運営者は、ショップ運営で知り得たお客様の個人情報は慎重に取り扱うことが個人情報保護法により義務付けられています。
個人情報保護法とは?
個人情報保護法とは、個人情報を取り扱うすべての個人や企業に対して、個人情報の取り扱いに関するルールを定めた法律のこと。
個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別できるもの」を指します。もっと平たく言うと「特定の個人を識別できる情報」で、名前や性別、生年月日、住所などがこれに該当します。
参考リンク:個人情報保護法等(個人情報保護委員会)
ネットショップ運営者の対応
個人情報保護法の基本ルールとして
- 個人情報を使用する目的を明記する
- 目的外の用途で使わない
- 漏洩のないよう保管する
などがあります。
ネットショップでよく「プライバシーポリシー(個人情報保護方針)」というページを目にするかと思います。これは、運営者が個人情報保護法の義務を掲げ、順守することを対外的に明示したページです。
ページを作成する義務はありませんが、作成しておくとショップに訪れたお客様がより安心して買い物ができるでしょう。
注意したい違反例
自分のネットショップで購入してくれたお客様の個人情報は、本人の許可なく個人情報を第三者に開示しないよう気を付けなければなりません。
自ら第三者に公開することはなくても、個人データが入ったパソコンがウイルスに感染すると、そこからお客様の個人情報が流出してしまいます。
知的財産権
ネットショップ運営者は、他人が権利を所有しているものを無断で使用してはなりません。他人がつくったモノやアイデアは、知的財産権で守られています。
知的財産権とは?
人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。 そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。知的財産権は、そういった知的財産の創造者に一定期間の権利の保護を与える法律です。
知的財産権には、「産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)」、「著作権」、「不正競争防止法」などが含まれます。
参考リンク:スッキリわかる知的財産権(経済産業省 特許庁)
ネットショップ運営者の対応
知的財産権のうち、ネットショップ運営者に特にかかわりの深いのが「著作権」「商標権」の2つ。
具体的は後で紹介しますが、商標権や著作権などの知的財産権を侵害する商品の販売は法律で禁止されています。権利者の許諾を得ずに、使用や利用することにより権利侵害となる可能性があります。
ネットショップで販売する商品は、権利侵害していないモノを用意し、商品写真や文章もオリジナルを用意しましょう。
注意したい違反例
たとえば、
- ネットで見つけた商品写真を無断で使用
- 商品名や商品説明にブランド名やキャラクター名などを記載
- ブランド品のロゴ・デザインと酷似している商品
- 許諾なくキャラクターなどを使用したハンドメイド作品
- 違法に複製された音楽CDやDVD
- 芸能人の写真を無断で利用している商品
などは商標権や著作権などの知的財産権を侵害する恐れがあります。
ハンドメイド作品を販売する方は、キャラクターやロゴを無断使用しないように注意が必要です。既製品を販売する場合も、商品写真にネットで見つけた画像を無断使用すると権利侵害となります。
関連記事:こんな作品は違法!ハンドメイド販売で知っておきたい著作権について
景品表示法
ネットショップで販売する商品は、実際よりよく見せかける表現を行ったり、高額な景品を付けてはないと景品表示法で定められています。
景品表示法とは?
景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。不当表示や不当景品から一般消費者の利益を保護するための法律です。
景品表示法では、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制しています。また、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額等を制限することなどにより、消費者の利益を保護しています。
参考リンク:事例でわかる景品表示法(消費者庁)
ネットショップ運営者の対応
景品表示法第5条第1号では、「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」や「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの」を禁止しています。
ネットショップで販売する商品やサービスについて、実際よりよく見せかける広告の表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、本体の性能がないのにも関わらず、広告に記載していることを真実だと誤信したり、景品目当てで質の良くない商品やサービスを買ってしまうなど、消費者が思わぬ不利益を被るおそれがあります。
商品の品質や内容を示す商品説明では、「商品をよく見せよう」と虚偽の内容を記載せず、客観的に見て、正確な情報を記載するよう心がけましょう。
注意したい違反例
たとえば、「カシミヤ80%の商品を100%と記載」したり、「先着100名のみ割引するとしておきながら、実際は全員が割引価格で購入できる」のは禁止されています。
販売する商品によって関係する法律
ネットショップで販売する商品によっては、法律で規制されているために、許可や届け出が必要になるものがあります。代表的な法律・許可は次の通りです。
- 古物営業法:中古品の販売には許可をもらう
- 酒類販売業免許:酒類の販売には許可をもらう
- 薬機法:医薬品の販売には資格を取得し、許可をもらう
- 食品衛生法:加工食品の販売にはを取得し、許可をもらう
- 家庭用品品質表示法:該当する家庭用品は、品質に関する表示を行う
上記以外にも、法律の規制を受けたり、申請が必要になる商品があります。必ずご自身で調べてから販売しましょう。
古物営業法
中古品は、許可なくネットショップで販売できません。販売するには「古物商許可申請」が必要です。
古物営業法とは?
「古物営業法」とは、中古品、リサイクル品などの古物を取引(古物営業)するときのルールなどを定めた法律です。
「古物」とは中古品のこと。中古品を誰でも簡単に販売できるようにしてしまうと、盗難して売る人が出てきます。それを防止するために古物営業法が定められ、簡単には販売できないようにされました。
ネットショップ運営者の対応
ネットショップで中古品を売るには、「古物商許可申請」が必要です。仕入れたものを手直しして販売する場合や、中古品のレンタルやリースの場合に申請します。
古物商許可申請は最寄りの警察署で申請できます。
申請ができないなら、ネットショップで中古品を売ることはできません。
参考リンク:古物商許可申請(警視庁)
注意したい違反例
ネットで中古品を売る方法はさまざまありますが、「フリマアプリ」では問題なくても、「ネットショップ」では違反になる可能性があります。
たとえば、BASEやメルカリショップスで本やゲーム機などの中古品を許可なく売るのは禁止されています。
メルカリなどのフリマアプリでは、ユーザーが「営業として」古物を売買しているわけではないので、中古品を売るために古物商許可は必要ありません(この判断は難しいですが、一般的にはこの解釈です)。
一方、メルカリショップスなどのネットショップでは、ユーザーが「営業として」中古品を繰り返し仕入れ売買するため、「古物商許可申請」が必要になります。
関連記事:メルカリショップスとメルカリの違いは?他サービスとの違いも解説
酒類販売業免許
お酒は、許可なくネットショップで販売できません。販売するには「酒類販売業免許」が必要です。
酒類販売業免許とは?
酒類販売業免許とは、酒税法に規定される酒類の販売を行うための免許。
お酒の販売業をしようとする場合には、酒税法に基づき、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から「販売業免許」を受ける必要があります。免許取得の要件が多岐にわたるため、全国で「酒類販売管理研修」が開催されています。
参考リンク:酒類の販売業免許の申請(国税庁)
ネットショップ運営者の対応
酒類販売業免許を取得するには、税務署の酒類指導官に相談します。税務署は地域ごとに管轄が分かれていて、酒販免許は酒類販売を行いたい場所を管轄する税務署から免許を付与してもらう必要があります。
酒類を販売したい方は、まずは販売場所を管轄する税務署に連絡をとってください。
注意したい違反例
注意したいのが、酒類販売業免許は「自宅や営業所のある住所を管轄している税務署」ではなく、「販売を行いたい場所を管轄する税務署」であること。
たとえば、自宅や本店が東京都世田谷区であっても、ネットショップの住所が渋谷区であれば、渋谷区を管轄する税務署から免許を付与してもらわなくてはなりません。
薬機法
医薬品は、許可なくネットショップで販売できません。販売するための資格を所有し、さまざまな条件をクリアしたうえで、ルールに沿って販売する必要があります。
薬機法とは?
薬機法は、従来は「薬事法」と呼ばれていました。正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。
医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するほか、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。
ネットショップ運営者の対応
薬機法により、医薬品をネットで販売するには、法律で定められたさまざまな条件をクリアしないといけません。
まず、医薬品販売を行うときに必要な資格は「薬剤師」もしくは「登録販売者」のいずれかが必要です。それに加えて、実店舗がある、薬剤師や登録販売者が常駐していて対面や電話で相談できる体制がある、などの条件も必要となります。
また、ネットショップ上の表記にはルールが設けられています。
その他 詳しい条件については「政府広報オンライン(外部サイト)」をご確認ください。
注意したい違反例
医薬品には、「第1類から第3類」に分類されているもの、医師や薬剤師のみが販売できるものに分けられます。これらはすべて許可なく販売ができません。
たとえば、第3類医薬品であるビタミン剤を無断で販売することは禁止されています。
食品衛生法
ネットショップで食品を販売するには、食品衛生法により「食品衛生責任者」資格の取得と「食品衛生法に基づく営業許可」が必要となっています。
食品衛生法とは?
食品衛生法とは、飲食による健康被害の発生を防止するための法律。言い換えると、食の安全性を保つための法律です。
食品を提供するスーパーマーケットなどの小売店や、食事を提供する飲食店、ネットショップでホームベーカリーや自作のお菓子を販売する個人など、食品業界の事業者全体が対象とされています。
参考リンク:食品衛生法の改正について(厚生労働省)
ネットショップ運営者の対応
ネットショップで食品を販売する場合、取り扱う食品の種類によって許可が必要な場合があります。
野菜や果物を販売するのに許可は必要ありません。たとえ、自分の畑で育てた野菜であっても、加工していなければ許可なく販売ができます。
野菜や果物を加工した場合には、資格と許可が必要となります。たとえば、収穫した果物をジャムにしてネットショップで販売するケースです。この場合、食品衛生責任者の資格と、食品衛生法に基づく営業許可を取得してください。
家庭用品品質表示法
洋服や布製品、台所用品、家電などの特定の製品には家庭用品品質表示法が適用され、表示すべき事項や表示方法が定められています。
家庭用品品質表示法とは?
家庭用品品質表示法は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的とする法律。
服や布製品、台所用品に代表される合成樹脂加工品、テレビや冷蔵庫などの電気機械器具、雑貨工業品などに適用される法律です。事業者が表示すべき事項や表示方法が定められています。
ネットショップ運営者の対応
商品を仕入れ、自分のネットショップで販売する場合、商品に品質表示がされているので特に対応は必要ありません。
対応が必要なのは、法律が適用される製品を自分でつくって販売するケースです。
法律が適用されるのは次の4製品類。
- 繊維製品
- 合成樹脂加工品
- 電気機械器具
- 雑貨工業品
このうち、特に注目したいのが服や布製品などの「繊維製品」。上記4つのうち、ハンドメイド品が多いジャンルで、多くのハンドメイド作家さんに関係してきます。
たとえば、セーター、ズボン、帽子、靴下、ハンカチ、子供用オーバーオール・ロンパースなどのハンドメイド品には家庭用品品質表示法が適用され、品質表示をしなければなりません。
注意したい違反例
家庭用品品質表示法が適用されるハンドメイドの繊維製品を販売するなら、品質表示タグをつけなければなりません。
表示すべき内容は、「繊維の組成(素材とその割合)」「家庭洗濯等取扱方法(取り扱い方法、洗濯の仕方など)」「表示者名等の付記(氏名と連絡先)」などがあります。たとえば、[綿 100%][洗濯表示マーク][個人名 電話番号]を記載した表示タグを洋服に取り付けます。
注意したいのが、連絡先は携帯電話の番号が認められないこと。自宅の固定電話の番号を記載しましょう。
まとめ
ネットショップ運営者として知っておきたい法律を「すべてのネットショップに関係する法律」と「販売する商品によって関係する法律」に分けて計9つご紹介しました。
もう一度、ご紹介した法律と、ネットショップ運営者がとるべき対応についてまとめておきます。
すべてのネットショップに関係する法律は次の4つ。
- 特定商取引法:運営者の住所氏名などをショップ上に記載する
- 個人情報保護法:お客様の個人情報は慎重に取り扱う
- 知的財産権:他人のつくったモノやアイデアを無断利用しない
- 景品表示法:商品情報は正確に表現し、高額な景品は提供しない
販売する商品によって関係する法律は次の通り。
- 古物営業法:中古品の販売には許可をもらう
- 酒類販売業免許:酒類の販売には許可をもらう
- 薬機法:医薬品の販売には資格を取得し、許可をもらう
- 食品衛生法:加工食品の販売には資格を取得し、許可をもらう
- 家庭用品品質表示法:家庭用品の品質に関する表示は適正に行う
上記以外にもネットショップ運営者として知っておきたい法律はありますが、最低限、この9つはおさえておき、安心・安全なネットショップ運営を心がけてくださいね。
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