キャラクターもののハンドメイド品をつくり、著作権者の許諾を得ずに販売することはできません。著作物の商用利用は、著作権の侵害になるからです。
では、「販売」ではなく、「インターネットに公開するだけ」ならどうでしょう?たとえば、キャラクター生地でつくったハンドメイド品をSNSに投稿する行為です。
結論から言うと、著作物は無断でインターネットに公開できないため、キャラクターを使ったハンドメイド品をSNSに投稿すると、著作権侵害となる可能性が高いです。
この記事では、ハンドメイドを趣味とするすべての人が知っておきたい、著作物の利用範囲について詳しく解説します。
著作権とは
著作権は知的財産権のひとつで、作品を創作した人に対して、法律によって与えられる権利のこと。著作権の目的は、著作者がつくった作品を守りつつ、文化を発展させることにあります(著作権法1条)。
著作権は著作物を保護するための権利です。
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。
著作物は、著作権者の許諾を得ずに利用することはできません。勝手に利用すると、著作権侵害になります。著作権を侵害すると、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処せられ、懲役と罰金がともに科せられることもあります(著作権法119条1項)。
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著作物の利用範囲はどこまで?
著作物は、著作権によって保護されているため、利用が制限されています。利用範囲の線引きは、私的利用かどうかです。
私的利用ならOK
著作物は、私的利用の範囲内なら罪に問われることはありません。私的利用とは、自分や家族といった限られた範囲内での利用を指します。私的利用であれば、著作物を複製したり、写真を撮ったり、その写真を家族に送ったりしても問題はありません。
このことは、著作権法30条1項に「自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することができる」と定められている通りです。
参考:著作権法第30条とは
公衆への発信はNG
著作物は、公衆へ発信すると、私的利用の範疇を超えたとして違法になる可能性があります。著作物を不特定多数に情報発信する行為は、著作権侵害になるからです。
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
出典:著作権法
著作物を公衆へ発信(インターネット上に公開)できるのは著作権者だけです(著作権法23条)。そのため、著作物を著作権者の許諾を得ずに公衆へ発信してはなりません。
フリマサイトの商品写真はOK
著作物は公衆への発信ができませんが、例外として、フリマサイトやネットオークションに商品写真として掲載する行為は許されています。
インターネットオークションでは、購入希望者が現物を手にとって見ることができないことから、ネット上で商品を紹介するための画像の掲載が不可欠です。そのため、美術の著作物や写真の著作物を適法に譲渡・貸与する場合、画像のサイズを小さくしたり、一定以下の画素数にするなどの措置を講じることを条件にこれらの行為が自由にできるようになりました。
たとえば、メルカリで不要になったキャラクターグッズを出品するために、その商品を撮影し、アップロードしても著作権侵害にはなりません。
ただし、ハンドメイドのキャラクターグッズはNGです。そもそも、キャラクターを用いたハンドメイド品の販売行為自体が違法なので、商品写真として掲載する行為も許されません。
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キャラクター生地のハンドメイド品を販売すると著作権侵害になる?
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著作物をSNS投稿するのは違法?
著作物を不特定多数に情報発信する行為は、著作権侵害になります。そのため、プライベートで利用しているアカウントであっても、著作物をSNSに投稿するのは違法です。
SNS上での投稿は不特定多数のユーザーに対して情報発信する行為であるため、プライベートで利用しているアカウントであっても私的利用の範疇を超え、公衆への発信となります。
そのため、SNSのアイコンにアニメの画像を使用したり、漫画のスクリーンショットなどを投稿したりするのは、どれも著作権の侵害です。出典:MONOLISIX
たとえば、キャラクターがプリントされた生地でハンドメイド品をつくり、そのハンドメイド品をSNSに投稿すると、著作権の侵害になります。
キャラクター生地でハンドメイド品をつくり、その完成品を撮影することは誰でもあるでしょう。そこまではセーフだとしても、ブログ・SNS・Youtubeにアップロードするのは著作権の侵害。SNSでは著作物を無断で掲載している人を多く見かけますが、「みんなやってるから大丈夫」ではありません。
著作物をSNS投稿しても違法にならないケース
例外として、写真に意図せず著作物が写ってしまった場合は、その写真をSNSに投稿しても著作権侵害にならない可能性があります。いわゆる著作物の「写り込み」といって、著作物が付随対象著作物とみなされる場合です(著作権法30条2項)。
たとえば、「よく見たら、写真の背景に小さくキャラクターが写っていた」といったように、意図せず著作物が写ってしまったケースです。偶然、背景に小さく著作物が写ってしまった場合は、「写り込み」が認められ、著作権侵害にはなりません。
ただし、著作物を使用したハンドメイド品をSNSに投稿する場合は、「写り込み」が認められる可能性は低いと考えます。なぜなら、撮影者が意図して著作権で保護されている素材を選び、それをメインの被写体として撮影しているためです。ですので、著作物を使用したハンドメイド品をSNSに投稿するのはやめましょう。
まとめ
著作物は著作権で守られています。著作権者の許諾を得ずに、私的利用の範疇を超えて使用することは許されません。
著作物のSNSへの投稿は、私的利用の範疇を超えています。著作物を不特定多数に情報発信する行為は著作権侵害です。
著作者は親告罪なので、訴えられないと罪には問われません。だからと言って、あなたが訴えられない保証はありません。トラブルを避けるためにも、著作物の利用には十分に注意してください。
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