注意書きは、書き方を間違えるとお客様に一方的で高圧的な印象を与えてしまうことがあります。
お客様の顔が見えないネット販売では不安がつきもの。だから自分優先の注意書きを書きたくなる気持ちもわかります。
でも、不安なのは相手も同じ。理不尽なクレームを言う人を寄せ付けたくないがために、自己防衛でいっぱいの注意書きを書いてしまうと、関係のない人を不安にさせてしまいます。
そうではなく、あなたの作品に興味を持ってくれたお客様が納得して買い物ができるような注意書きを心がけましょう。その方が、お互いが気持ちよく取引を終えられますし、次につながります。
この記事では、お客様が納得できる注意書きの書き方のコツや例文をご紹介しています。ご紹介する例文はコピー&ペーストしていただいて構いません。ぜひ、ハンドメイドマーケットやフリマアプリ、ご自身のネットショップなどでテンプレートとしてご活用ください。
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ハンドメイド作品に同封する注意書きカード(取扱説明書)の作り方
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「注意書き」の本来の役割とは
注意書きは、ハンドメイド作家が「クレーム拒否」を宣言するための場ではありません。お客様が勘違いして買わないよう、注意喚起するためのものです。
「クレーム拒否」を宣言する場ではない
ハンドメイドマーケットでは、「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」「素人の手作り品ですので、ご理解いただける方のみご購入ください」などの注意書きを決まり文句のように書いているハンドメイド作家さんをよく見かけます。
クレームを避けるための自己防衛のひとつだと思いますが、注意書きというのは、お客様の「勘違い」を未然に防ぎ、納得して買ってもらうためにあるものです。決して「クレームは受け付けません!」と宣言したり、クオリティの低さを言い訳するためにある場ではありません。
minne でも、返品や返金に応じないという記載は規約違反になるため禁止しています。
「ノークレーム・ノーリターン」のような記述はお問い合わせや返品を受け付けない意思表示となるため記述できません。
お客様からお金をもらっている以上、最後まで責任を持つのが販売者の務め。クレームを受け付けないと宣言した場合であっても、責任をもって対処しなければなりません。ですから、注意書きに「ノークレームで」と宣言するのは避けましょう。
お客様の「勘違い」を防ぐため
注意書きは、お客様が勘違いして買わないよう、注意喚起するためのものです。
インターネット販売では実物を見ることができず、売り手に気軽に質問することもできませんから、お客様が勘違いしたまま買ってしまうことがあります。
ハンドメイド作品においては、
「写真とまったく同じものが届くと思った」
「金属アレルギー対応だと思った」
「すぐ発送してくれるかと思った」
といった勘違いがよく起こります。
勘違いしたまま買ってしまうと、お客様は提供されたサービスに対して不満を持ちます。不満が募れば、言いたくもないクレームを言わざるを得ません。クレームを言われると、作家もツライ気持ちになりますよね。
お互いが嫌な気持ちにならないよう、販売する側は、自分が作品を購入する立場だったら「どんなことに勘違いしそうか」を深く考え、注意書きでお知らせしましょう。
相手が勘違いしそうなことを先回りして伝えることができれば、お客様がサービスに対して誤った知識やイメージのまま買ってしまうのを未然に防げます。そうなれば返品や返金リスクが減りますから、「ノークレーム・ノーリターンで」などと書く必要もなくなるでしょう。
お客様が納得できる注意書きの書き方
注意書きを書く上で重要なのが、納得感のある文章を心がけること。お客様が読んでいて「なるほど」と納得できるものにしましょう。
納得感を生むためには、次の 2 点を意識します。
思いつく限りの注意事項を高圧的な文章で書くのではなく、本当に伝えたいことだけに絞り、明るくやわらかい表現で伝えると、お客様が納得して買い物ができます。
伝えたいことを絞る
「面倒ごとは避けたい」「辛い思いをしたくない」という気持ちもわかりますが、注意書きを長々と書くのはやめましょう。注意書きが多すぎると、本当に伝えたいことがボヤけてしまい、何も伝わらなくなってしまいます。
たとえば、「ハンドメイド作品ですので、既製品のような強度はありません。」などの注意書きは省いても良いでしょう。お客様はハンドメイド作品だとわかって見ていますから、わざわざこのような注意書きを書く必要がありません。
注意書きを書こうと思えば、文字数制限が許す限りいくらでも書くことができてしまいます。分かり切った事実や伝える必要のないことまで書き連ねるのではなく、本当に伝えたいことは何かを整理し、端的にわかりやすく記載しましょう。その方が、お客様がすべての注意事項に目を通してくれます。結果的に作家がクレーム対応に追われることもなくなります。
ポジティブな表現を心がける
インターネットでの販売だと、お客様は作り手の顔を直接 見ることができませんから、文章を通してあなたの人柄を感じ取ろうとします。そして、その人柄が作品づくりに現れると考えます。丁寧に、大切に作られていることを感じ取ってもらうように、できるだけポジティブな表現を心がけましょう。
たとえば、次の例文のように事実だけをストレートに伝えてしまうと、丁寧な言葉遣いを心がけても、冷たい作家だという印象を与えてしまいます。
ハンドメイド品ですので個体差がございます。恐れ入りますが、気になる方はトラブル防止のため、ご注文をお控えくださいませ。
そうではなく、次の例文のように明るくやわらかい表現を心がけます。
1つひとつ手作業で製作しているので個体差があります。ハンドクラフトならではの風合いとしてお楽しみいただけると幸いです。
ポジティブな表現で伝えれば、ハンドメイドならではの温もりが相手に伝わりますし、相手も納得して購入ができますよね。
注意書きを書いたら、公開する前に「読む人が不快に感じないか」「もっとポジティブな表現に書き変えられないか」を確認し、必要に応じて修正を加えましょう。
ハンドメイド販売で役立つ注意書きの例文
ハンドメイド作品をインターネットで販売するうえでもっとも多いトラブルは、「作品」に関してです。お客様が「思ったのと違う」とならないよう、見た目でわかりにくい特性を、注意書きでお知らせしましょう。
配送に関するトラブルも少なくありません。トラブルが起きたときのことを想定して、対処できる範囲や問合せの対応時間をお知らせしておきましょう。
ここでは、ハンドメイド作家さん向けの注意書きの例文を、次の 3 つのカテゴリーに分けてご紹介しています。
ご紹介する例文は、お客様が納得しやすいよう、できるだけ ポジティブな表現 を心がけています。そのままコピー&ペーストしてお使いただいて構いませんので、ぜひ ひな型 としてご活用ください。
作品に関する注意書き
インターネットでの販売では、お客様が実物を見ることができません。そのため、写真や商品説明の情報を基に、実物のイメージをします。
そのイメージと実際に届いた作品にギャップが生じると、お客様の不満を生み、それがクレームにつながります。お客様が誤解しないよう、部品や完成品に個体差があることを記載しましょう。
1つひとつ手作業で製作しておりますので、同商品でもサイズの誤差やパーツの配置など、個々に多少の差が生じることがございます。ハンドクラフトならではの風合いとしてお楽しみいただけると幸いです。
天然の素材を使用しているため、色の濃淡や柄が写真とは異なる場合がございます。お届けした作品の色味を気に入っていただけると大変うれしいです。
天然石には、石特有のクラック(筋目など)やインクルージョン(内包物)があります。これは天然の証であり、天然石の魅力のひとつでもあります。唯一無二の美しさをご堪能いただければ幸いです。
生地の裁断によって、写真と実物の柄の出方に若干の違いが生じることがございますが、作品全体の雰囲気に変わりはありませんのでご安心ください。ご希望のお客様には、写真と同じ柄になるようお作りいたします。お手数ですがご相談くださいませ。
細心の注意を払っておりますが、各種ワイヤーには製作に伴う微細なキズ等が付いている場合があります。商品の欠陥ではございませんので、安心してご使用くださいませ。
商品写真の色味は、出来る限り実物に近くなるよう調整しておりますが、閲覧環境などにより、まったく同じ色に表現することが難しいのが現状です。ご不便をおかけいたしますが、何とぞご了承くださいませ。
お手元に届いたあとの、酸化や経年変化による商品状態の劣化には対応いたしかねます。お買い上げいただいたお客様には、「アテンションカード」を同封いたしますので、こちらをよく読み、長くご愛用いただけると大変うれしく思います。
「アレルギー」「誤飲」など想定されやすいトラブルも注意書きに記載しておくと、作品に対しての誤解や誤ったイメージを回避できます。
体質によって、かゆみ・かぶれを生じる場合があります。肌に異常を感じたときは、ご使用をお止めいただき、専門医にご相談ください。
金属アレルギーには個人差がございます。すべての方がアレルギー反応が出ないことを保証するものではございませんのでご注意ください。
小さなお子様やペットが誤って飲み込まないよう、お取り扱いには十分にご注意ください。万が一、誤飲や怪我などの原因となった場合の責任は負いかねますのでご了承ください。
発送・配送に関する注意書き
最近の通販サイトでは、「当日お届け」「翌日発送」といった配送スピードが一般的になっているため、お客様もこのスピード感覚に慣れてしまっています。しかし、ハンドメイド販売は少人数で製作から発送までを担っているため、通販サイトのようなスピードで発送することができません。
お客様の中には「注文したらすぐ届く」と思っている方もいるので、こういった誤解を解くためにも、発送までに時間がかかることを注意書きに書いておきましょう。
1点1点 手作業で丁寧に梱包しているため、入金確認から商品発送まで、○ 日ほどお時間をいただいております。お手元に作品が届くのを楽しみにお待ちいただければと思います。
恐れ入りますが、18時以降、および土日祝日のご購入は、翌営業日の対応とさせていただきます。希望日までの到着が可能か確認したい方は、お手数ですがご注文前にご連絡ください。
配送中の破損や宛名不明による返送などは、自分でどうにかなるものではありません。ですが、何かトラブルがあったら対応するのは作家です。配送トラブルがあった際のルールを自分で決めて、そのルールを注意書きに提示しておきましょう。
配送中に破損しないよう最善を尽くしておりますが、万が一、お届けした作品に不備があった場合は返品・交換対応をさせていただきます。返品・交換時の送料は当ショップ負担にて手配いたします。
住所不備や長期の不在など、お客様都合で返送となり、再発送をご希望の場合は、別途送料と手数料(500円)がかかります。お間違えのないよう、ご協力をお願いいたします。
梱包資材について事前にお知らせしたいことがあったら、次の例文のようにお知らせしておき、お客様が誤解しないようにしましょう。
当ショップでは、できるだけお求めやすい価格でご提供できるよう、簡易的な包装にてお届けしております。ご希望のお客様にはギフトラッピング(200円)を承っているので、ご注文時にオプションをお選びください。
SDGs 活動の一環として、梱包用の緩衝材を再利用品とさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
対応に関する注意書き
大人数で運営している通販サイトとは違い、個人で運営しているショップの対応には限界があります。ただ、お客様はそういった事情を知りません。
大手通販サイトのように「いつでもすぐに、どんな要望にも応えてくれる」などとお客様が勘違いしないよう、ショップとして「対応できること」「対応できないこと」を明記しておきましょう。対応できるものに関しては、具体的な対応時間を伝えると良いでしょう。
ご質問にはなるべく早い対応を心がけていますが、最大で 2 営業日ほどのお時間をいただくことがございます。順番にお答えしておりますので、ご協力をお願いいたします。2 営業日を過ぎても回答が確認できない場合は、お手数ですがあらためてご連絡ください。
イメージ違いなど、お客様のご都合による返品・返金は行なっておりません。ご購入前に、作品の「サイズ」や「素材」を十分にご確認いただきますようお願い致します。
当ショップは、お客様が不安のない状態でお買い物をしていただきたいと考えております。少しでもご不明な点がございましたら、ご注文前にご質問いただければと思います。
お客様ご都合による返品の場合、商品到着後3日以内にご連絡ください。未使用の商品の場合に限り、返品・交換をお受けしております。その場合、大変恐縮ですが往復送料のご負担をお願いしております。何卒ご了承くださいませ。
お客様にできるだけ早く作品をお届けできるよう、製作・発送作業を優先しております。そのため、ご注文時や発送時にこちらからご挨拶やメッセージなどのご連絡は差し上げておりません。ご理解くださいませ。
注意書きを書いてもクレームが減らない原因
もし、注意書きを書いてもクレームが減らないのなら、それは伝え方に問題があるのかもしれません。
次のような伝え方をすると、クレームが起こりやすくなります。
「しっかりと注意書きを書いたのにわかってもらえない」と嘆く前に、自身の伝え方を見直してみましょう。
「説明不足」だから
説明不足とは、注意書きが足りないという意味ではなく、商品説明が不十分な状態です。
商品説明が足りないと、お客様がハンドメイド作品に対して誤った知識やイメージを持ったまま買ってしまいます。結果的に、言いたくもないクレームを言ってしまうことになります。これは、商品説明を怠った作家に原因があります。
それを「注意書きを書かなかったからクレームを言われたんだ」と思い込むのは筋が違います。注意書きに書くのではなく、商品説明で丁寧に説明してあげましょう。
購入前に作品についての正しい知識が得られれば、注文ミスが減り、クレームを言うお客様もいなくなります。
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購買意欲を刺激するハンドメイド作品の商品説明の書き方【例文あり】
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「説明過多」だから
説明過多とは、注意書きが多すぎる状態です。
あなたは、サービスの利用規約をすべて読み、きちんと理解したうえで「同意」したことがありますか?おそらく、全文にサッと目を通して「同意」する人がほとんどでしょう。
何の面白みもない長文を最後まで読む人がいないのと同じで、注意書きをいくつも並べても読むのが面倒になるだけで、読まぬまま購入してしまう人が多くなります。
つまり、注意書きの項目が多すぎると、どうしても見落としてしまう項目が出てくるのです。結果的に、本当に伝えたいことに目を向けてもらえず、注文ミスが発生し、クレームにつながります。
実際にクレームを言われたら「注意書きにこう書いてあります」と説明すれば、それで済む話しかもしれません。ですが、お客様は納得するでしょうか。理解してくれるかもしれませんが、腑に落ちることはないでしょう。そうなれば、二度と購入してくれることはありません。
本当に伝えたいことに目を向けてもらうためにも、説明過多な注意書きは避けましょう。
購買意欲を下げる注意書きの例
お互いの顔の見えないネット販売では、さまざまな不安がつきまといます。だからと言って、次のような注意書きを書くのは良くありません。
これらは、お客様を不安・不快な気持ちにさせます。購買意欲を下げるだけのマイナス要因でしかないので、絶対に避けましょう。
商品説明の冒頭に注意書きを書く
「ご注文前に注意事項をご一読ください」など、作家の都合を優先するような注意書きを商品説明の冒頭に書くと、お客様が委縮してしまいます。
商品説明は、お客様が最初に目にする文章。そんな場所に注意書きが書いてあると、写真を見て興味をもって訪問してくださったお客様も、一気に熱が冷めてしまいます。
そもそも、商品説明というのは、作品について深く知ってもらうためのものであって、注意書きを書く場所ではありません。もちろん、個人の自由なので冒頭に注意書きを書いても構いませんが、お客様からの印象を悪くしたくないのなら、ほかの場所に書く方が良いでしょう。
注意書きを長々と記載する
お客様からのクレームを極端に怖がり、注意書きを長々と書くのは避けましょう。
クレームは、一定の割合でおきるものです。たくさん注意書きを書いたからといって防げるものではありません。ましてや、注意書きを書いたからと言って、クレームに対応しなくて良いということでもありません。注意書きばかりで埋め尽くしてしまうと、お客様からの印象が悪くなるだけです。
注意書きをたくさん書いても読んでくれませんから、伝えたいことを絞って、端的にわかりやすく書くようにしましょう。
クレームを避けるような宣言をする
どんなに素敵な作品をつくっても、次のような一文があるだけで、お客様を不安に陥れます。
- ノークレーム・ノーリターンでお願いします
- いかなる理由でも、返品や返金は受け付けません
- 素人の手作りなので、ご理解いただける方のみお買い求めください
- ハンドメイドなので、既製品のようなクオリティは求めないでください
一度、お客様の立場になって考えてみてください。この文章を読んで「この人は、品質や完成度に不安があるのかな」と受け取ったのではないでしょうか。そう思うと、積極的にこの人から買おうという気持ちにはなりませんよね。
言いがかりのようなクレームを避けるために書いているのかもしれませんが、そもそも、理不尽なクレームを言ってくる人は注意書きを読んでくれません。そんな少数に向けた高圧的な注意書きを書くのではなく、あなたの作品を購入してくれる大多数のお客様を不快にさせない書き方を心がけましょう。
配送に関する免責の記述をする
「定形外郵便は補償がありません」「配送中の破損・事故の責任は負いかねます」など、配送トラブルの責任を免れようとする注意書きは記載してはなりません。
お金をいただいている以上、お客様の手元に無事に作品が届くように気を配るのも作家の仕事のうち。万一、配送中に紛失や破損が起きたら、その対応を行うのも作家です。たとえ配送業者に原因があったとしても、販売者の責任と負担によって、新しい作品を用意したり、交換したりといった手配を行う必要があります。注意書きを書いたからと言って、配送トラブルの責任から逃れられるわけではないので、まったく意味がありません。
配送トラブルが不安なら、追跡や補償のある配送方法だけに絞りましょう。配送料金が高くなるかもしれませんが、送る側と受け取る側の両方が安心して取引ができます。
まとめ
注意書きは、「クレームを言わないで」と宣言するための場ではありません。このような一方的で高圧的な注意書きを書いてしまうと、あなたの作品を気に入ってくれたお客様にまで悪い印象を与えます。
注意書きというのは、お客様に購入前に知ってもらいたいことをお知らせするためにあります。作品や発送に関する注意事項を、端的にわかりやすく伝えましょう。その際、ポジティブな表現を心がけると、読んでいて不快な気持ちにならず、納得して買い物ができます。
この記事でご紹介した書き方や例文を参考に、ぜひ、相手が納得できる注意書きを考えてみてください。
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