見栄えのよい商品写真を撮影するには、「カメラアングル」が重要です。
カメラアングルとは、被写体に対して構えるカメラの角度のこと。同じ商品を撮影するにしても、撮るアングルによって受ける印象(= 見え方)がガラリと変わります。
商品写真の撮影では、商品のどの部分を見せたいかを基準にして
- 水平アングル
- 斜め上からのアングル(斜俯瞰)
- 真上からのアングル(真俯瞰)
の3つのアングルを使い分けるのがポイントです。
ここでは、この基本の3つのアングルの特徴や撮り方について詳しく解説しています。商品をどの角度から撮るべきか迷っている方は、ぜひご参考にしてください。
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1. 水平アングル
水平アングルとは、カメラを水平にしたまま撮影する方法のこと。斜俯瞰では歪んで写りやすい高さのある商品や、ポスターや衣類など壁にかけて撮影する商品は水平アングルで撮影します。
撮影するときは、「商品の高さの中心」と「レンズの中心」が平行になるように構えるのがポイントです。
「水平アングル」とは
水平アングルとは、カメラを水平にしたまま撮影する方法のこと。カメラを水平に対して 0~30 度くらいの角度に構えて、被写体(商品)を水平角度から撮影します。
水平アングルで撮影すると、商品を真正面から見たときのように写ります。立体的な商品の場合、厚みや奥行きが伝わらず、平面的に見えてしまいます。
水平アングルが向いてるシーン
水平アングルは、
- 高さのある商品を歪みなく撮影したい
- 商品を壁にかけて撮影したい
- 高さのない商品の真正面を撮影したい
といったシーンに向いている撮影方法です。
角柱・円柱といった高さのある商品は、斜め上からのアングル(斜俯瞰)だと商品の形状が歪んで見えてしまいます(写真右)。
水平アングルで撮影することで、商品が歪まずに見たままの自然な形状で写せます(写真左)。斜俯瞰で撮影したときに不自然な形状に写っていたら、水平アングルで撮影してみると良いでしょう。
ポスターや衣類など、大きくて平面的な商品を撮影するときも水平アングルが向いています。
平面的な商品は真俯瞰で撮影することが多いですが、商品が大きいと、カメラを真上から構えても写真に収まらなくなるからです。このような場合は、商品を壁にかけて水平アングルで撮影しましょう。
高さのない商品でも、写したい部分が「真正面」にある場合も、水平アングルでの撮影が向いています。真正面から撮影することで、商品の形状よりも、商品の "主役" を印象付けることができます。真俯瞰でも同様に写せるので、水平アングルとの仕上がりを比較してみると良いでしょう。
水平アングルで撮るときのポイント
水平アングルで撮影するときは、商品に正対して、「商品の高さの中心」と「レンズの中心」が平行になるように構えます。こうすることで、商品が歪まずに自然な姿で写ります。
もし、商品が歪んで写っていたら、商品の高さの中心とレンズが平行になっていなかったり、左右にずれている可能性があります。
こういったときは、メジャーで正確に測るのが確実です。床から商品の高さの中心を測り、その高さとレンズの高さを合わせることで、「商品の高さの中心」と「レンズ」が平行になり、歪まずに撮影ができます。カメラの高さを測るには三脚が便利です。
スマホで高さのない商品を水平アングルで撮影する場合は、スマホを逆さにして、レンズの位置を低くすると撮りやすくなります。
2. 斜め上からのアングル(斜俯瞰)
斜俯瞰とは、カメラを斜め上から構えて撮影する方法のこと。商品の正面・側面・天面の3つの面を見せて立体感を表現したいときは斜俯瞰で撮影します。
撮影するときは、商品を斜め上から見下ろすようにカメラを構えます。立体的な商品は見せたい箇所が多いので、形がよく見える角度にこだわりましょう。
「斜俯瞰」とは
斜俯瞰(しゃふかん)とは、カメラを水平に対して 45 ~90 度くらいの角度に構えて、被写体(商品)を斜め上から撮影する方法のこと。物撮りの定番アングルです。
斜俯瞰で撮影すると、商品を斜め上から見下ろしたときのように写ります。立体的な商品の場合、正面・側面・天面の3つの面が見えるため、形・厚み・奥行がよく伝わる写真に仕上がります。
斜俯瞰での撮影が向いてるシーン
斜俯瞰は、
- 商品の立体感を伝えたい
- 商品を自然に見せたい
- 高さのない商品を撮影したい
といったシーンに向いている撮影方法です。
皿や財布といった高さのない商品は、水平アングルや真俯瞰で撮影すると平面的に見えてしまい、何を撮影したかが分かりにくくなってしまいます(写真右)。
斜俯瞰で撮影することで、商品の正面・側面・天面の3つの面が見えて立体的になり、大きさや高さ、奥行きを表現できます(写真左)。商品の立体感を伝えたいときは斜俯瞰で撮影しましょう。
斜俯瞰で撮るときのポイント
斜俯瞰で撮影するときは、商品を斜め上から見下ろすようにカメラを構えます。こうすることで、商品の天面・正面・側面を同時に写すことができ、立体感が伝わります。
立体的な商品は見せたい箇所が多いため、どの角度で撮影するのがベストなのかの見極めが難しいことがあります。そんなときは、アングルを少しずつ変えて、商品の写り方を観察してみましょう。ほんの少し角度を変えるだけでも、商品の見え方がガラリと変わります。少しずつアングルをずらして何枚か撮影し、商品がもっともよく見える位置(アングル)を探りましょう。
角柱や円柱などの1面が極端に長い商品を斜俯瞰で撮影する場合は、望遠レンズで撮影します。普通に撮影してしまうと、商品の上部は大きく、下部は すぼんで 写ってしまう(歪んで見える)からです。
望遠レンズを使うと、商品の上部と下部が ほぼ同じ太さに写り、実際の商品の形状に近くなります。スマホに望遠レンズが搭載されていない機種であれば、やや引いた位置から商品を撮影し、デジタルズームで写真を拡大すると歪みを軽減できます。
商品写真の歪みは、水平アングルや真俯瞰で撮ることでも軽減できます。斜俯瞰で歪みが気になるときは、思い切ってアングルを変えて撮影してみましょう。
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3. 真上からのアングル(真俯瞰)
真俯瞰とは、商品を真上から撮影する方法のこと。商品の形を伝えたいときや、一面のみを撮影すれば良い商品の場合は、真俯瞰で撮影します。
撮影するときは、「商品の中心」と「レンズの中心」が一致するように構えるのがポイントです。影が入りやすいので注意しましょう。
「真俯瞰」とは
真俯瞰(まふかん)とは、カメラを水平に対して 90 度の角度に構えて、被写体(商品)を真上から撮影する方法のこと。商品とカメラの角度は平行で、商品の一面だけがよく見えます。
立体感は出にくいですが、商品の形が伝わり、商品を上下左右に自由に動かせるといった撮りやすさがあります。
真俯瞰での撮影が向いてるシーン
真俯瞰は、
- 商品の形を伝えたい
- 立体的な商品を歪みなく撮影したい
- 商品の一面のみを撮影したい
といったシーンに向いている撮影方法です。
真上から撮影すると、商品の形が伝わりやすい写真になります。平らな商品を撮影するのに向いています。
立体的な商品を寝かせて真俯瞰で撮影すると、厚みや奥行きが分かりにくく、平面的に見えてしまいますが、商品を歪みなく撮影することができます。
真俯瞰で撮るときのポイント
真俯瞰は、カメラを真上から構え、床と平行になるようにします。水平アングルのときと同様に、「商品の中心」と「レンズの中心」が一致するように撮影しましょう。一致していないと歪みの原因になります。
iPhoneで商品を真俯瞰で撮影する場合は、カメラの「十字ポインター」を活用しましょう。
十字ポインターとは、カメラを地面に対して水平に傾けると、画面中央に表示される白色と黄色の十字マークのこと。この2色の十字マークが重なる(黄色い十字マークのみ表示される)と、真上から撮れているという合図。十字ポインターは、グリッドを有効にすると表示できるようになるので、設定を確認してみましょう。
真俯瞰で撮影するときは、カメラの影が写ったり、自分の影で全体が暗くならないように注意しましょう。商品の横から光があたる「サイド光」や「逆光」で撮影すると、余計な影が入りにくいです。
光源の位置によっては、どうしても自分やカメラの影が入ってしまうことがあります。そんなときは引きで撮影し、影が写らないところまでトリミングしましょう。
傾斜をつけた撮影台をつくり、その傾斜とカメラが平行になるように角度を調整し、斜俯瞰で撮影するという手法もあります。こうすることで、真俯瞰での撮影が難しい場合でも、真上から見下ろしたような写真になります。
まとめ
カメラアングルの違いは、商品の特徴の捉え方を左右します。撮影前に、「どの部分を見せたいか」を整理し、どの角度で撮れば見せたい部分がきちんと撮れるか、を考えると良いでしょう。
撮影時にアングルが見極められないときは、少しずつカメラの角度をずらして何枚か撮影し、商品の見せたい部分がもっともよく表現できている1枚を選ぶと良いでしょう。
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