利用者数の多い人気フリマアプリと言えば「メルカリ」「楽天ラクマ」「Yahoo!フリマ」の 3 社。これらは不用品のほか、ハンドメイド作品の販売もできます。一見、どのフリマアプリも似たように見えますが、手数料や機能面、集まっているユーザーなどに違いがあります。
この記事では、フリマアプリで合計 1,000 件以上 取引した実績のあるハンドメイド作家が、3 つのフリマアプリの違いや選び方をわかりやすく解説しています。この記事を読めば、人気フリマアプリの特徴や違いをしっかり理解したうえで、どのアプリでハンドメイド作品を売れば失敗がないのかがわかります。
フリマアプリを使ったことがない人はもちろん、「メルカリは使ったことがあるけど、他のアプリはよく知らない」「不用品は売ったことがあるけど、ハンドメイド作品は売ったことがない」といった人の役に立つ内容となっていますので、ぜひご参考にしてください。
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フリマアプリとは
フリマアプリは、インターネット上で個人間が不用品を売買できるアプリです。知的財産権を侵害しない限り、ハンドメイド作品の販売も可能です。
ネット上で不用品の売買ができる
フリマアプリとは、不用品を「売りたい人」と「買いたい人」をインターネットを介してつなぐサービスのこと。自宅にある要らないものを気軽に出品できるため、インターネットで商品を売る入り口として根強い人気を持ちます。
フリマアプリでの取引はシンプル。売りたい人は出品物の写真を撮り、説明文を添え、値段を付けて出品。それを見て気に入った人が購入し、売った人は梱包して発送をします。出品物が相手に届いたら取引終了。
利用料金はフリマアプリにもよりますが、登録や出品だけなら無料で、商品が売れたときに販売手数料が、売上を振り込んでもらうときに振込手数料が発生する仕組みになっているのが一般的です。
ハンドメイド作品も販売できる
フリマアプリは「中古品(使用済みの商品)」や「新古品(未使用の商品)」といった不用品の売買がメインですが、ほとんどのサービスでハンドメイド作品(手作り雑貨)の出品もできます。ただし、自分でつくったものであっても、それが知的財産権を侵害するようなものだと販売はできません。
商標権や著作権などの知的財産権の侵害に該当しない商品であればハンドメイド品の出品は可能です。
出典:メルカリガイド
知的財産権とは何かを創り出した人に対して一定期間の独占権を与え、無断で利用することを禁止する権利です。たとえば、キャラクターは知的財産権で守られているので、キャラクターをイメージした製作物は出品が禁止されています。これは法律で禁止されている行為ですので、フリマアプリに限った話しではありません。ハンドメイド作品を売るなら、知的財産権を侵害しないように注意しましょう。
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フリマアプリで売るメリット
ハンドメイド作品は、ハンドメイドマーケットに出店したり、自分のネットショップをつくって売ることもできます。SNS で直接 販売することだってできます。このように、インターネットをつかえばフリマアプリ以外でもさまざまな方法で売ることができます。そんな中、あえてフリマアプリでハンドメイド作品を売るメリットは次の 3 つあります。
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
幅広い層にアプローチできる
ハンドメイド作品をインターネットで売る方法と言えば、「minne」や「Creema」といったハンドメイドマーケットを利用するのが定番です。フリマアプリと同じく登録や出品が無料で、手数料は売れたときにだけ発生する仕組みのサービスがほとんど。初心者でもリスクなく販売をはじめられるため、ネットでハンドメイド作品を売買する入り口として根強い人気を持ちます。そんな人気のハンドメイドマーケットですが、手作りの製作物を買い求める人しか集まらないので、良くも悪くも客層が偏っている、という側面もあります。
それに対して、あらゆるジャンルの売買が行われるフリマアプリには、さまざまな嗜好をもつユーザーが集まっています。利用者数も桁違いに多く、年齢層も幅広いため、ハンドメイドマーケットでは出会わないような客層にもアプローチできるのがフリマアプリで売るメリットです。
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配送方法が多彩で匿名で送れる
あらゆるジャンルの売買が行われるフリマアプリでは、それに対応するためさまざまな配送方法が用意されています。フリマアプリを使い慣れている人にとっては当たり前に思えるかもしれませんが、ハンドメイドマーケットやネットショップでは配送方法が用意されていないことの方が多く、基本的には自分で手配しなければなりません。その場合、配送方法が限られますし、送料も割高です。
フリマアプリなら、ヤマト運輸や日本郵便と提携したオリジナルの配送方法が利用でき、送料が個人利用よりも割安になったり、全国一律料金になったりします。さらに、お互いの住所や氏名を知ることなく取引ができる「匿名配送」にも対応しています。このように、フリマアプリは配送に関する利便性はかなり高いと言えます。
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入金スピードが早い
フリマアプリで売った商品の売上は、すべて事務局側に預けています。その売上を自分の口座に振り込んで欲しいときは、販売者が振込申請をします。
振込申請をしてから実際に売上が振り込まれるまでの日数はフリマアプリによって多少 異なりますが、翌営業日か翌々営業日に振り込まれるのがほとんど。そのため、連休や年末年始を挟まない限り、申請した日から 1 週間以内には振り込まれます。
この入金スピードはかなり早い方で、たとえばハンドメイドマーケット「minne」だと月末締めの翌月末振込となっているので、売上があった日から振り込みがされるまで最長で 2 ヶ月もかかります。ハンドメイド販売では売上を次の作品の製作費にあてたいので、特に資金が少ない初心者のうちは、この入金スピードの遅さで悩まされることがあります。その点、フリマアプリなら好きなタイミングで振込申請ができ、数日後には売上が振り込まれるので、資金調達に悩まされることがありません。
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フリマアプリで売るデメリット
フリマアプリはサービスの特性上、ハンドメイド作品を出品したときに「使いにくい」「売りにくい」と感じる場面が多々あります。
特に使いにくさや売りにくさを感じるのが次の 3 つ。
1 つずつ説明していきます。
値下げ交渉がある
フリマアプリは「良い品物をより安く買いたい」というニーズが強い市場なので、商品の購入を検討している人が、出品者に値引きをお願いするやり取りが頻繁に行われています。
一般的に、値引き交渉の対象になる商品は「中古品」や「新古品」といった不用品ですが、ハンドメイド作品もその対象とされるケースは珍しくなく、「お値引き可能ですか?」などのコメントが送られてくることがあります。商品の説明文に「ハンドメイド作品ですので、お値引きはご遠慮ください」などの一文を添えて出品しても、それを無視して値下げ交渉をしてくるユーザーも一定数います。
値下げに応じるかどうかは出品者が決められますし、そもそもハンドメイド作品は値引きをするような品物ではないので、無視したり断ったりができます。ただ、無視すると印象が悪くなりますし、いちいちお断りのメッセージを考えて送るのも面倒。削除することもできますが、フリマアプリによっては履歴が残ってしまいます。こういった値下げ交渉の煩わしさがあるのが、フリマアプリのデメリットです。
在庫管理ができない
フリマアプリは「在庫管理」ができません。
ハンドメイドマーケットやネットショップでは、同じハンドメイド作品が複数個あったら、まとめての出品ができます。出品した商品が売れたら在庫数が減るだけなので、残りはそのまま販売ができます。在庫がなくなっても商品ページは残ったままで、在庫を増やせばすぐに再販ができます。
この当たり前の機能が、フリマアプリにはありません。商品ページは 1 つの商品につき 1 つしか作れないため、同じハンドメイド作品が複数個あったら、別アイテムとして 1 つずつ出品しなければなりません。売る数が多ければ多いほど、手間と時間がかかってしまいます。
在庫管理ができない理由は、フリマアプリが不用品を売るサービスだから。在庫の補充(定期的に仕入れて売る)ができてしまうと、不用品を売る「フリマアプリ」ではなく、商品を売る「ネットショップ」になってしまいます。それは「商売」です。だからフリマアプリは在庫管理ができないのです。
価格競争が起きやすい
フリマアプリは価格に敏感なお客様が多い傾向にあります。そういったお客様は「商品の価値」よりも「値段の安さ」に魅力を感じるので、似たようなハンドメイド作品や既製品が出品されていれば、商品に十分な魅力があっても高ければ買わず、少し劣っていても安い商品の方を選びます。ライバルの多いカテゴリーでは特にこの傾向が強く、価格競争が起きやすくなっています。
実際、ハンドメイド作品で人気のカテゴリーであるピアスを見てみると、フリマアプリは 1,000 円前後と安く出品している作品が目立ち、2,000 円以上で売れているケースは少ない印象です。それに対して、ハンドメイドマーケットでは 2,000 円以上での出品が多く、その価格でも普通に売れています。この価格差の理由はシンプルで、フリマアプリでは同じ商品の履歴が豊富に残っているため、ユーザーの中で「安く買える」という相場感ができあがっているからです。もし相場よりも高い値段で出品すると、周囲から浮いて見えてしまいます。結局は値段で勝負することになるので、ブランディングによって自身の価値を築き上げていくのはフリマアプリだと難しいでしょう。
人気フリマアプリ 3 社の特徴
フリマアプリといえば、国内最大級ともいわれる「メルカリ」が代表的ですが、このほかにも「楽天ラクマ」や「Yahoo!フリマ」も人気です。どのフリマアプリも基本的な使い方は同じですが、手数料や機能にそれぞれ違いがあります。ここでは 3 つの人気フリマアプリの特徴を 1 つずつ解説していくので、違いをしっかり理解していきましょう。
メルカリ
サービス名 | メルカリ |
初期費用 | 0円 |
月額料金 | 0円 |
販売手数料 | 10% |
振込手数料 | 200円 |
入金サイクル | 申請日の翌営業日(平日)以降 |
「メルカリ」は、2013年7月からサービスをスタートさせた国内最大級のフリマアプリ。
メルカリの集計データ によると、月間利用者数は 2,200 万人以上、累計出品数は 30 億品を突破しています。利用者数のもっとも多い年代は 10代 ~ 20代 ですが、他の年代の占める割合とは大差がなくほぼ均等。さまざまな嗜好を持つユーザーが集まるフリマアプリなので、どんなジャンルでも平均的に売れやすいといった印象です。
販売手数料は 10 %。「楽天ラクマ」が 4.5% ~ 10% 、「Yahoo!フリマ」が 5 %ですので、他のフリマアプリと比べるとやや高い数値です。ただ、手数料が高い分、健全な取引を実現するための監視やサポートは行き届いているので、問い合せやトラブル時の対応は早いと感じます。
注目すべき機能は、掲載できる写真の枚数。「楽天ラクマ」と「Yahoo!フリマ」では 10 枚までとなっていますが、メルカリは最大で 20 枚まで掲載できます。フリマアプリではお客様に実物を見せられないので、さまざまな角度から撮影した写真を 1 枚でも多く掲載した方が特徴や魅力が伝わりやすく、実物とのギャップも埋められます。写真を少しでも多く掲載したいハンドメイド作家さんは、メルカリが向いていると言えます。
なお、メルカリは、同アプリ内にネットショップを開設できる「メルカリShops」というサービスも提供しています。こちらでは値下げ交渉がなく、在庫管理などが可能になります。販売手数料はメルカリと変わらず 10 %。出品方法も大きく変わらないので、はじめはメルカリで出品し、慣れてきたら「メルカリShops」を開設する、とステップアップするのも良いかもしれません。
楽天ラクマ
サービス名 | 楽天ラクマ |
初期費用 | 0円 |
月額料金 | 0円 |
販売手数料 | 4.5% ~ 10% ※前月の販売実績に応じて変動 |
振込手数料 | 210円 |
入金サイクル | 申請日の翌営業日(平日)以降 |
「楽天ラクマ」は、2012年7月からサービスを開始した日本初のフリマサイト「フリル」と、楽天がもともと運営していたフリマサイト「ラクマ」を統合したサービス。
前身となる「フリル」では、ファッションに特化したフリマアプリとして女性からの人気があり、ハンドメイド作品の販売にも力を入れていました。これが土台となっているため、「楽天ラクマ」でも女性向け商品やハンドメイド作品に対する反応が良い印象です。
販売手数料は 6 段階の変動制。1 ヶ月間の販売回数と販売金額に応じて、翌月の掛け率が決定します。
販売手数料が変動する条件は以下の通りです。
販売手数料 | 合計販売回数 / 合計販売金額 |
10% | 0~3回 / 5,000円未満 |
9% | 4回以上 / 5,000円以上 |
8% | 6回以上 / 10,000円以上 |
7% | 8回以上 / 30,000円以上 |
6% | 10回以上 / 50,000円以上 |
4.5% | 10回以上 / 100,000円以上 |
販売実績が多いほど手数料は安くなるものの、実績がほとんどなければ 10% となります。また、販売手数料は毎月更新されるため、出産や育児で一時的に販売を休むと翌月の販売手数料が 10% に戻ってしまう、ということも起きます。
以前は、販売手数料が 6.6% だったため、メルカリの 10 %よりも安く、駆け出しのハンドメイド作家でもランニングコストを抑えられるのが楽天ラクマの良いところでした。2023年8月1日以降からこの変動制に変わり、実績がほとんどなければ 10% となるため、メルカリと同じ手数料になってしまいます。
Yahoo!フリマ
サービス名 | Yahoo!フリマ |
初期費用 | 0円 |
月額料金 | 0円 |
販売手数料 | 5% |
振込手数料 | 100円 |
入金サイクル | 申請日の翌営業日(平日)以降 |
「Yahoo!フリマ」は、2019年10月にサービスを開始した、比較的 新しいフリマアプリ。
サービス開始当初は「PayPay フリマ」という名称でしたが、2023年11月1日に「Yahoo! フリマ」に変更。サービス名の変更にともない、「Yahoo! オークション(旧:ヤフオク!)」」との連動を強化。「Yahoo! フリマ」に出品すると、同時に「Yahoo! オークション」にも出品され、サービスを切り替えることなく両方のサービスで販売ができます。なお、両サービスで販売手数料は異なりますが、「Yahoo! フリマ」に出品した商品が「Yahoo! オークション」で売れた場合でも、「Yahoo! フリマ」の販売手数料が適用されます。
販売手数料は 5 % 。「メルカリ」は 10 %ですから、同じ商品を売っても、引かれる手数料は半分ということになります。「楽天ラクマ」は 4.5% ~ 10% で、販売実績によってはフリマアプリの中ではもっとも安くなりますが、実績が少ないうちは 6% 以上になるので、実際は「Yahoo! フリマ」の方が手数料は抑えられます。
客層は、「レディースファッション」や「メンズファッション」などファッションアイテムに興味のあるユーザーが多いです。加えて、「Yahoo! オークション」との統合により、「カー用品」や「ゲーム」などのいわゆるガジェット系が好きな男性ユーザーも流れてきています。
注目すべき機能は、「動画」での商品紹介が可能なこと。商品写真の掲載枚数は 10 枚までと平均的ですが、動画を掲載できるのはフリマアプリの中だと「Yahoo!フリマ」だけ。動画で得られる情報量は写真よりもはるかに多いので、写真ではなかなか伝えられない魅力や特徴を表現したいときは、動画出品ができる「Yahoo!フリマ」が最適と言えます。
失敗しないフリマアプリの選び方
フリマアプリは、どのアプリも簡単に無料で出品ができるようになっています。取引の流れも同じですし、配送方法や配送料などに大きな違いはありません。ただ、次の 3 点は大きな違いがあります。
これらは、フリマアプリを選ぶうえで重要な判断材料になるので、どういった違いがあるのか比較してみましょう。
販売手数料の安さで選ぶ
フリマアプリは、商品が売れたときに「販売手数料」が、売上を振り込んでもらうときに「振込手数料」がかかります。
振込手数料は、振込申請をしたときにだけかかる手数料で、各サービスともさほど金額が高くない(100円~200円 程度)ので、特別 気にする必要はありません。
気にするべきは、販売手数料です。販売手数料は、商品が売れるたびに発生し、商品価格(送料を含む)から数パーセントの代金が売上から引かれます。この掛け率はフリマアプリごとに大きく異なるため、少しでも安い方が利益を圧迫しません。
「メルカリ」「楽天ラクマ」「Yahoo!フリマ」の販売手数料の掛け率は、次のようになっています。
フリマアプリ名 | 販売手数料 | 3,000円で売ったときの 販売手数料 |
メルカリ | 10% | 300円 |
楽天ラクマ | 10%(0~3回 / 5,000円未満) 9% (4回以上 / 5,000円以上) 8% (6回以上 / 10,000円以上) 7% (8回以上 / 30,000円以上) 6% (10回以上 / 50,000円以上) 4.5%(10回以上 / 100,000円以上) ※合計販売回数 / 合計販売金額 |
300円 270円 240円 210円 180円 135円 |
Yahoo!フリマ | 5% | 150円 |
販売手数料がもっとも高いのは「メルカリ」。「Yahoo!フリマ」の倍も高くなっています。「楽天ラクマ」は変動制で、前月の販売実績によって手数料が決まります。販売実績が多ければ手数料が業界最安となりますが、逆に実績が少ないうちはメルカリと同じで 10% と高い掛け率です。
販売手数料は、売上が少ないうちはそれほど気にならない額かもしれませんが、月商が高くなると高額になり、それが利益を圧迫します。ただ、販売手数料が安くても、使いにくかったり、売れにくかったりすることがあります。販売手数料だけで優劣を決めるのではなく、自分にとって使いやすいフリマアプリを選ぶようにしましょう。
必要とする機能で選ぶ
フリマアプリは基本的な使い勝手は変わりませんが、機能面で細かな違いがあります。
たとえば、掲載できる写真の枚数が違ったり、動画出品の対応状況が違ったりします。これらの違いを以下の表にまとめたので確認してみましょう。
フリマアプリ名 | 写真掲載枚数 | 動画出品 |
メルカリ | 最大 20 枚 | 未対応 |
楽天ラクマ | 最大 10 枚 | 未対応 |
Yahoo!フリマ | 最大 10 枚 | 対応 5~30秒以内 / 100MB以内 |
掲載できる写真の枚数がもっとも多いのは「メルカリ」。ほかのフリマアプリの倍の 20 枚まで掲載できます。
「Yahoo!フリマ」の写真の掲載枚数は 10 枚と平均的ですが、動画出品に対応しているのが特徴的。360 度から撮影して見せたり、製作風景を見せたり、使い方を見せたり、といった活用方法ができます。動画の長さは最大 30 秒で、音声をミュートにすることも可能。アルバム(端末に保存済み)の動画を使うことも可能です。
ハンドメイド作品を出品するとなると、作品の全体・前後・左右・細かいディテール・色違い・サイズ違い・ラッピングの仕様など、さまざまなカットの写真を掲載したいことがあります。そのため、20 枚まで写真を掲載できる「メルカリ」や、動画で出品できる「Yahoo!フリマ」なら、作品の特徴や魅力を十分に伝えられるでしょう。
写真や動画のほか、ハンドメイド作家が注目したい機能が「購入申請」です。
購入申請とは、購入者が出品者に対して購入の意思を示す「楽天ラクマ」独自の機能。出品者が出品時に「購入申請」の設定を有効にすると、購入者はいきなり購入することができません。まず購入申請をして、出品者がそれを承認した場合に、購入ができるようになります。
購入申請の良いところは、出品者が購入者の評価を事前にチェックできるので、評価の低い人には売らない、という選択ができること。ハンドメイド作品の場合だと、理不尽なクレームをつける人が一定数いますから、評価の低い人を避ければ、嫌な思いをしないで済むかもしれません。また、購入される前に在庫や作品の状態を改めて確認してから取引を開始できるのも購入申請の良いところ。
これら以外にも、フリマアプリによって機能面で細かな違いがあります。アプリのダウンロードは無料ですので、試しに不用品などを売って、自分にとって必要な機能が備わっているかを確かめてから選ぶと失敗がありません。
ターゲットとのマッチ度で選ぶ
フリマアプリでハンドメイド作品を出品するなら、そこにターゲットがいるかどうかも重要です。フリマアプリはどれも似たように見えますが、そこに集まる人は微妙に異なります。もしターゲットがいない(ニーズがない)場所で出品してしまうと、売れないどころか見られもしません。販売手数料の安さなども大事ですが、ターゲットがいるかどうかもチェックしましょう。
メルカリのユーザー層は、10~20代・30代・40代・50代の占める割合がほぼ均等で、年齢層に極端な偏りが見られません。利用者数は他のフリマアプリよりも圧倒的に多く、さまざまな嗜好を持つユーザーが集まるので、どんなカテゴリーでも平均的に売れやすいといった印象を受けます。
「楽天ラクマ」に関してはユーザー層のデータを公式に発表していませんが、実際に出品者・購入者として利用していると、10~30 代の女性客が多い印象を受けます。「楽天ラクマ」に女性客が多い理由は、ファッションに特化したフリマアプリ「フリル」が土台になっているため。加えて、女性ユーザーの割合が多い通販サイト「楽天市場」との連携が強く、その客層が一定数流れているためか、「楽天ラクマ」にも女性客が多くなっています。ちなみに、楽天市場は 30~40 代が多く、ラクマは 10~30 代が多いようです。
楽天市場の顧客層は特に30~40代が多いのに対し、ラクマは10~30代が約63%を占める。
出典:通販新聞
「Yahoo!フリマ」に関してもユーザー層のデータを公式に発表していませんが、実際に利用しているとやや男性の割合が多いという印象を受けます。「Yahoo!フリマ」に男性客が多い理由は、「Yahoo!オークション」との連携を強化しているから。「Yahoo!フリマ」はもともとレディースファッションが人気だったため女性客が多い印象でしたが、男性ユーザーが多い「Yahoo!オークション」との統合により、男女比が半々か、同じくらいになっています。
なお、「メルカリ」と「楽天ラクマ」は越境販売にも対応しています。特別な設定をすることなく、普通に出品するだけで、世界 100 ヶ国以上のユーザーに見てもらえます。海外発送は代理サービスが行うため、発送方法はいつもと同じ流れです。販売手数料も変わりません。日本らしいハンドメイド作品は外国人にも人気ですので、海外にはないユニークなハンドメイド作品を製作している作家さんは、「メルカリ」や「楽天ラクマ」で出品すると海外ユーザーに売れるかもしれません。
おすすめのフリマアプリは?
フリマアプリはそれぞれ、手数料や機能、客層などさまざまな部分で違いがあります。そのため、どれが良いか悪いかではなく、自分が続けやすいと思えることを基準にして選ばなくてはなりません。
ここでは、「メルカリ」「楽天ラクマ」「Yahoo!フリマ」が、それぞれどういった人に向いているフリマアプリなのかを紹介しているので、自分にあっていると思うものを選びましょう。
売れやすいのは「メルカリ」
出品する商品のカテゴリーにもよりますが、中古品を含め、ハンドメイド作品に関しても売れやすいのは「メルカリ」です。「月間利用者数 2,200 万人以上、累計出品数 30 億品以上」という数値からわかるように、他のフリマアプリとは比べ物にならないほど活発に取引が行われています。実際、出品してからすぐに閲覧数が伸び、「いいね」やコメントなどの反応が早いのもメルカリです。
メルカリでの出品でもっともネックになるのが、販売手数料の高さだと思います。販売価格の実に 10 %をメルカリに支払わなければなりません。しかし前述の通り、圧倒的な集客力があり、出品した商品が利用者の目にとまりやすいのも事実。手数料が安くても売れなくては意味がありませんから、販売手数料は広告・宣伝のための費用だと思えば納得できるのではないでしょうか。
また、メルカリは公式マニュアル(メルカリガイド)が充実していますし、人気 No.1 フリマアプリということもあり、関連書籍も多数 発売されています。ネットでも情報が多いので、書籍を買うほどでもない調べものなら、検索すればすぐに解決できます。このように、公式・非公式ともに情報が充実しているのがメルカリの強みです。初心者は特に分からないことがたくさんあり調べ物をする機会も多いので、これからフリマアプリでハンドメイド販売をはじめる方には、情報が充実しているメルカリがおすすめです。
月商が高いなら「楽天ラクマ」
毎月 安定して 10 万円以上の売上が見込める、あるいは目標とするハンドメイド作家さんには、「楽天ラクマ」がおすすめです。楽天ラクマの販売手数料は 4.5 ~ 10% の変動制で、実績が多ければ 4.5% にまで下がります。この販売手数料はフリマアプリとしては業界最安。販売手数料は売れるたびに発生するので、安ければその分、手元に残る売上が多くなります。
ただ、「楽天ラクマ」は「メルカリ」ほどの集客力がないので、販売手数料 4.5 %まで実績を積むのはなかなか大変です。女性ユーザーが多くハンドメイド作品との相性も良いフリマアプリなのは確かですが、そもそもの利用者数が「メルカリ」よりも少ないので、「出品してすぐに反応が来る」といった期待はできません。そのため、ある程度 ハンドメイド作家としての知名度があり、サービスに頼らなくても自分で集客できる人か、楽天ラクマの中で差別化ができる商品力がある人におすすめです。
月商とは関係なく、「買う人を自分が選びたい」という人にも「楽天ラクマ」がおすすめ。出品時に購入申請を「あり」に設定しておけば、購入を承認制にできます。「メルカリ」や「Yahoo!フリマ」だと、「コメントせずにいきなり購入され、その相手が評価の低い人だった」なんてことが起きます。ハンドメイド作品の売買は既製品よりもトラブルが起きやすいので、少しでも心配なら、評価の低い人を避けられる「楽天ラクマ」で売るのが安心です。
手数料の安さなら「Yahoo!フリマ」
「楽天ラクマのように高い月商は見込めないけど、販売手数料は安くしたい」ということであれば「Yahoo!フリマ」がおすすめです。販売手数料は 5% で、メルカリの半分です。楽天ラクマは実績がなければ 10% なので、駆け出しのハンドメイド作家さんだとしばらくは高い販売手数料を支払うことになります。販売スタートから手数料が安いフリマアプリは「Yahoo!フリマ」だけ。
「Yahoo!フリマ」は動画出品に対応しているのも特徴的。パーツが揺れるピアスであればその動きを見せたり、はじめて使う人に向けて手順を説明したりと、写真や文章だとわかりにくい情報を動画にすれば伝わりやすくなります。もし「作品の魅力や特徴は動画にした方が伝わりやすい」と考えるのであれば、「Yahoo!フリマ」が向いていると言えるでしょう。
ちなみに、「Yahoo!フリマ」には「価格の相談」という機能があり、コメント欄から直接 値下げ交渉ができない仕様になっています。「価格の相談」から値下げ交渉が入っても、[受けない]をタップすれば簡単に拒否ができ、履歴が残らないようになっています。一般的なフリマアプリにある値下げ交渉の煩わしさがないのが「Yahoo!フリマ」の良いところです。
まとめ
フリマアプリは、インターネット上で個人間が不用品を売買できるアプリです。知的財産権を侵害しない限り、ハンドメイド作品の販売も可能です。
ハンドメイド作品も販売できるフリマアプリで、人気があるのは「メルカリ」「楽天ラクマ」「Yahoo!フリマ」の 3 つ。それぞれ手数料や機能面などに違いがあるので、どれが良いか悪いかではなく、自分が続けやすいと思えることを基準にして選ぶことが大切です。この記事を参考に、「自分に合っているな」と思うフリマアプリを見つけてくださいね。
それでもフリマアプリ選びで迷ってしまうのなら、試しに使ってみるのがおすすめ。アプリのダウンロードは無料ですので、手元にある不用品やハンドメイド作品などを出品してみて、使い勝手や反応の良さなどを確かめてから選ぶと失敗がありませんよ。