商品写真を撮影する現場では、「ケント紙」と呼ばれる大判の紙を背景にしたり、窓に「トレーシングペーパー」という薄い紙を貼って太陽光を透過させたり、「レフ板」で光を反射させたりします。
ハンドメイド作品を撮影する際も、これらの撮影グッズを使うことで、作品の魅力が引き立つ写真に仕上がります。ただ、プロのカメラマンが使うような機材は高価なため、一気にすべて揃えようと思うとなかなかの出費になります。
そこでこの記事では、プロが使うような撮影グッズを100均の材料で代用し、ハンドメイド作品の撮影環境を整える方法をご紹介します。
「できるだけリーズナブルなもので撮影環境を整えたい」とお考えのハンドメイド作家さんは、ぜひご参考にしてください。
-
商品写真をもっと快適に楽しく撮影するための便利な小道具7選
今すぐ読む
白背景をつくる
まずは、100均の材料だけで白い背景をつくります。
白い背景をつくる理由はコチラの記事でも説明していますが、写真の背景を目立たせないためです。背景が目立っていたり、気になるモノが写っていたりすると、一番 見せたい「作品」よりも「背景」に注目されてしまいます。それを防ぐためにも、背景はシンプルな白にして撮影します。
白い背景は、100均の「模造紙」をハンドメイド作品の下に敷き、これを "立ち上げる" ことで完成します。
-
商品写真はシンプルな白背景で撮るべき理由と撮影方法
今すぐ読む
100均で買うべき材料
100均の材料だけで白い背景をつくるなら、以下を用意しましょう。
- 白い模造紙:1枚(788mm × 1090mm)
または 白い画用紙:1枚(四つ切り) - クリップ:4個 程度
- マスキングテープ:1本
- ブックエンド:2個
- ボード:1枚(600mm × 400mm程度の大きさ)
「模造紙」は、背景紙として使います。「クリップ」「マスキングテープ」「ブックエンド」「ボード」は、模造紙を立ち上げるために使います。立ち上げる方法については後述しています。
白い模造紙
商品写真には、サイズが大きく厚みがあり、色が豊富にそろっている「ケント紙」を背景に使うことが多いです。白いケント紙もあるので、白背景をつくるにはこれを使用したいところですが、残念ながら100均には大判のケント紙は売っていません。
ですので、ケント紙の代わりに「模造紙」を使用して、白い背景をつくります。模造紙ならほとんどの100均で手に入ります。
用意する模造紙は、白の大判サイズ(788mm × 1090mm)を購入しましょう。大判の模造紙で背景をつくれば、リュック程度の大きさのハンドメイド作品を撮影しても、背景が足りなくなることはありません。
※小さいハンドメイド作品を撮影する場合は、模造紙ではなく、四つ切りサイズの白い画用紙でもOK。
クリップ
「クリップ」は、ボードとブックエンドを挟み、ズレるのを防ぐために使います。厚みのあるボードを挟むため、大きめのクリップを用意しましょう。
数は、2~4個 程度あれば十分です。自宅にある「洗濯ばさみ」で代用しても良いでしょう。
マスキングテープ
「マスキングテープ」は、模造紙をボードや撮影台に貼って固定するために使用します。
柄物よりも、白いシンプルなマスキングテープの方が撮影の邪魔になりません。1本 用意しましょう。
ブックエンド
「ブックエンド(ブックスタンド)」は、ボードが倒れないための支えとして使います。大きさ・形状は一般的なもので構いません。数は2つ必要です。
ボード
「ボード」は、模造紙を立ち上げる際の "壁" として使います。厚みのある板であれば何でも壁として使えるので、100均のカラーボードや板状の発泡スチロールのほか、自宅にあるダンボールで代用しても良いでしょう。
ボードの大きさは、600mm × 400mm程度あれば十分です。ボードの色は、模造紙で透けるため白が無難です。ダンボールを使用する場合は、表面にコピー用紙などを貼ると良いでしょう。
白背景のつくり方
背景をつくる前に、どの部屋のどの位置を撮影スペースとするか決めます。
撮影スペースは、自然光がたっぷり差し込む、大きな窓のある部屋がベスト。この窓の前に、撮影台となるテーブルを置いて撮影スペースとします。
撮影スペースができたら、テーブルの上で背景をつくっていきます。ブックエンドをボードの幅にあわせて置きましょう。
ブックエンドで支えるようにボードを立てかけ、倒れないようにボードの両端とブックエンドをクリップで挟み、固定します。
後ろから見ると、こんな感じです。
これで、模造紙を立ち上げる際に必要な "壁" が完成です。
続いて、模造紙を敷いていきます。ボードの上底と模造紙の端をマスキングテープでとめます。
模造紙の端を固定したら、そのまま流すように撮影台に敷いて、模造紙の反対側の端をマスキングテープでとめます。
模造紙を敷くときは、直角ではなく曲線を描くようにします。曲線で敷くことで、直角で敷いたときに出る奥行きの境界線が出ず、無機質な空間で撮影することができます。
模造紙をボードと撮影台に固定したら、背景の完成です。
-
商品写真の撮影におすすめの背景紙4選
今すぐ読む
直射日光をやわらかくする
次に、100均の材料だけで直射日光をやわらかくします。
模造紙で白い背景をつくっても、いざ撮影しようとすると窓からの直射日光が強く、ハンドメイド作品に濃い影が出てしまったり、木々や窓枠の影が入り込んでしまったりと、思うように撮影ができないことがあります。こういった状況を改善するためにも、直射日光を拡散させ、やわらかい光にする必要があります。
直射日光は、100均の「トレーシングペーパー」を窓に貼ることで やわらかい光になります。
100均で買うべき材料
窓から差し込む直射日光をやわらかくするには、100均の「トレーシングペーパー」が必要です。
トレーシングペーパーとは、複写するための半透明の紙です。本来はイラストや図面を透かして模写するために用いますが、これを窓に貼ることで直射日光が拡散され、やわらかい光になります。
撮影の現場では、ロールタイプの大判のトレーシングペーパーを、窓全体を覆うように貼って使います。
トレーシングペーパーは100均にも取り扱いがありますが、ロールタイプのような大判のものは取り扱いがなく、A4~A3サイズしかありません。大判サイズでないので使いにくいものの、機能としては同じなので、これを必要な分だけ窓に貼りましょう。
-
自然光で魅力的な商品写真を撮るためのライティングの基本
今すぐ読む
光をやわらかくする方法
100均でトレーシングペーパーを調達したら、マスキングテープを使って窓に貼っていきます。
トレーシングペーパーを窓にあてると、直射日光が拡散され、全体的に光がやわらかくなっていることが確認できます。
トレーシングペーパーを貼らない場合と、貼った場合とでは、後者の方がキレイな仕上がりになっているのが分かるかと思います。
レフ板をつくる
さいごに、100均の材料だけでレフ板をつくります。
レフ板とは、光を反射させる板のことで、ハンドメイド作品の撮影になくてはならない道具のひとつです。自然光だけでも写真を撮ることはできますが、レフ板に光を反射させたり、拡散させることで、光のあたらない影の部分が明るくなり、より美しくキレイな仕上がりになります。
レフ板は、「ダンボール」2枚を連結させ、表面に「コピー用紙」などの白い紙を貼るだけで完成です。材料は100均で調達するか、自宅にあるもので代用ができます。
100均で買うべき材料
100均の材料だけでレフ板をつくるなら、以下を用意しましょう。
- ダンボール:2枚(自宅のもので可)
- コピー用紙:4枚程度(自宅のもので可)
- マスキングテープ:1本(セロハンテープで代用可)
ダンボール
ダンボールはレフ板のベースとして使います。ハンドメイド作品のサイズよりもひとまわり大きいものを用意しましょう。小物のハンドメイド作品を撮影するなら、A4サイズくらいのダンボールで十分です。
ちなみに、100均セリアにはA4サイズにカットされた「ダンボールシート」という商品が売っています。もちろん、自宅にあるダンボールを使っても大丈夫です。
コピー用紙
コピー用紙は、ダンボールに貼って白色にするために使用します。オーソドックスなA4の普通紙を用意しましょう。
白いマスキングテープ
白いマスキングテープは、コピー用紙とアルミホイルをダンボールに貼り付けるために使用します。色つきや柄つきのマスキングテープもありますが、撮影の邪魔になるので白色を選びましょう。自宅にある白いテープやセロハンテープで代用しても大丈夫です。
レフ板のつくり方
100均でレフ板づくりに必要な材料を調達したら、さっそく作ってみましょう。
まずは、ダンボールを撮影するハンドメイド作品よりも大きめのサイズにカットします。小さいハンドメイド作品の撮影ならA4サイズ、大きめならA3サイズ以上を目安にカットしてください。
カットした2枚のダンボールを、マスキングテープで連結させます。
連結させた 2枚のダンボールに、マスキングテープをつかってコピー用紙を貼ります。このとき、コピー用紙は2重にしましょう。1枚ではダンボールの色が透けてしまうためです。
これでレフ板が完成しました。
レフ板はダンボール以外でも簡単につくれます。100均の材料でレフ板をつくる方法はコチラの記事でご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。
-
100均の材料だけで「折りたたみ式レフ板」を作る3つの方法
今すぐ読む
レフ板の使い方
レフ板は、光源の光を反射させて被写体を明るくするため、光が入ってくる方面と向き合うように置いて使います。
左手に窓がある場合、左から太陽光が入ってくるため、レフ板はハンドメイド作品の右側に置きます。
こうすることで、左方向から入ってくる太陽光がレフ板に反射し、ハンドメイド作品の影になっている部分が明るくなります。
まとめ
ハンドメイド作品を撮影するなら、まず背景をつくる必要があります。背景は、100均の「模造紙」をハンドメイド作品の下に敷き、これを "立ち上げる" ことで完成します。
窓からの直射日光は、100均の「トレーシングペーパー」で拡散させ、やわらかい光に変えます。光がやわらかくなることで、目で見たままの自然な印象の写真に仕上がります。
写真の影になっている部分は、レフ板で明るく照らします。レフ板は「ダンボール」に「コピー用紙」を貼れば完成です。光が入ってくる方面と向き合うように置いて使いましょう。
-
iPhoneで商品写真を撮影するなら覚えておきたいカメラの基本機能7選
今すぐ読む