ハンドメイド作品は、ハンドメイドマーケットを利用すれば、誰でも簡単に出品ができます。ハンドメイドマーケットとは、ハンドメイド作品を「売りたい人」と「買いたい人」をインターネットを介してつなぐサービスのことで、国内だと「minne」「Creema」「iichi」が人気です。
一見するとどのハンドメイドマーケットも似ているように思えますが、登録している作家のスタンスや出品されている作品のクオリティ、価格帯などに大きな違いがあります。購買層も異なるため、求められるクオリティにも違いがあります。
この記事では、ハンドメイドマーケットで合計 2,000 件以上 取引した実績のあるハンドメイド作家が、「minne」「Creema」「iichi」の違いをさまざまな角度から独自に分析して解説しています。この記事を読めば、それぞれの根本的な違いを正しく理解し、納得したうえでハンドメイドマーケットを選ぶことができます。
長文ではありますが、ハンドメイド作家さんに役立つ内容となっていますので、ぜひさいごまで読んでいただければと思います。
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ハンドメイドマーケットとは
ハンドメイドマーケットは、インターネット上で個人間がハンドメイド作品を売買できるサービスです。あらゆるジャンルの商品が取引されているフリマアプリとは違い、基本的には手作りした雑貨の売買が行われます。
手作りの製作物を売買できる
「ハンドメイドマーケット」とは、ハンドメイド作品を「売りたい人」と「買いたい人」をインターネットを介してつなぐサービスのこと。手作りした製作物のほか、製作に必要な手芸材料などの売買ができます。
ハンドメイドマーケットは複数のハンドメイド作家のお店で構成されています。実際のお店で例えるならハンドメイド専門のショッピングモールのイメージで、販売者は、そこに間借りする形で自分のお店を構えます。「間借り」と言っても、実店舗のように初期費用や月額費用がかからないサービスがほとんどで、審査なども特にありません。費用がかかるのは商品が売れたときで、売上から販売手数料として 10% 前後が引かれるシステムとなっています。
お客様との取引はシンプルで、ハンドメイド作家は作品の写真を撮り、説明文を添え、値段を付けて出品します。それを見て気に入った人が購入し、ハンドメイド作家は作品を梱包して発送します。作品がお客様に届いたら取引終了となります。このように、インターネット上で売買するシステムが整っているので、初心者でも手軽に販売をはじめられます。
フリマアプリとの違い
「フリマアプリ」とは、不用品を「売りたい人」と「買いたい人」をインターネットを介してつなぐサービスのこと。
ハンドメイドマーケットとフリマアプリの違いは、「販売する物のジャンル」です。ハンドメイドマーケットは作家が手作りした新品を販売しますが、フリマアプリは中古品(使用済みの商品)や新古品(未使用の商品)といった不用品の販売がメイン。ハンドメイド作品の売買もできますが、ハンドメイドマーケットよりも幅広いジャンルの品物が取引されているのがフリマアプリの特徴です。
フリマアプリは不用品を少しでも安く買いたいというニーズが強い市場なので、値引き交渉が頻繁に行われています。ハンドメイド作品もその対象とされるケースは珍しくありません。一方、ハンドメイドマーケットでは新品を扱うため値引き交渉は行われません。
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ネットショップとの違い
「ネットショップ」とは、インターネット上に自分のお店を構えて商品を販売するサイトのこと。ネットショップにも「モール型」と「ASP型」という種類があり、モール型は複数のお店で構成され、ハンドメイドマーケットはこれに分類されます。これに対して、ASP型のネットショップはインターネット上で完全に孤立しています。実際のお店で例えるなら、街中に独立した個人店を開くイメージです。
モール型に分類されるハンドメイドマーケットとASP型ネットショップとの大きな違いは「集客力」です。ハンドメイドマーケットは圧倒的な集客力があるので、新規出店でも多くのお客様の目にとまりやすいといった特徴があります。ASP型ネットショップはインターネット上で孤立しているので、自分で集客をしなければお客様がお店に訪問することはありません。
集客力においてはハンドメイドマーケットに劣りますが、自分のショップ内に他のハンドメイド作家が表示されなかったり、ショップのデザインを好きなようにカスタマイズできるのが ASP 型ネットショップの強みです。
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ハンドメイドマーケットで売るメリット
ハンドメイド作品は、フリマアプリで売ったり、自分のネットショップをつくって売ることもできます。SNS で直接 販売することだってできます。このように、インターネットをつかえばハンドメイドマーケット以外でもさまざまな方法で売ることができます。そんな中、あえてハンドメイドマーケットで売るメリットは次の 3 つあります。
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
ハンドメイドが好きな購買層にアプローチできる
ハンドメイドマーケットは、テレビ CM やインターネット広告、SNS のプロモーション、リアルイベントの開催など、広告宣伝を勢力的におこなっているので、さまざまな方面からたくさんの新規ユーザーを獲得しています。そこに集まる人はモノづくりに関心の高い購買層がほとんどなので、新規出店でもすぐに届けたい相手に自分の作品を見てもらえるチャンスがあります。
ハンドメイド作品はフリマアプリでも売れますし、そちらの方が市場規模は大きく利用者数も多いかもしれません。ただ、あらゆるジャンルの商品が集まるフリマアプリは、ユーザーの興味関心がばらけているため、ハンドメイド作品に興味があるユーザーは一部しかいません。また、フリマアプリは価格に敏感なお客様が多いため、作品に十分な魅力があっても、値段が高ければ購入されないという傾向が強いです。
モノづくりに関心の高い購買層が集まるハンドメイドマーケットでは、作品の「価格」よりも「価値」に魅力を感じてもらえるため、高くても十分な魅力があれば売れます。「価格」ではなく「価値」で人気を集めたい方は、フリマアプリよりもハンドメイドマーケットの方が向いていると言えるでしょう。
サービス内で宣伝してくれる
ハンドメイドマーケットに出品すると、サービス側が無料で宣伝してくれることがあります。たとえば、「ピックアップ」「セレクト」と呼ばれるコーナーでは、運営スタッフがランダムで注目の作品を選抜してくれます。季節や作品ジャンルなどのテーマを決めて、そのテーマにあった作品をまとめた特集ページも用意されています。こういった企画に自分の作品が取り上げられれば、サービス側が発信しているメールマガジンや SNS でも同時に宣伝してくれるので、数万~数十万人のお客様に見てもらえるチャンスがあります。
サービスによっては決められた予算内でサイト内に広告を掲載することができるので、選抜コーナーや特集に取り上げられなくても、お金をかければ興味のある購入者にピンポイントで作品を届けることもできます。
このように、はじめから集客の土台ができており、サービス内でもさまざまな方法で作り手の集客を支援してくれるのがハンドメイドマーケットの特徴です。
リアルイベントに参加できる
ハンドメイドマーケットによっては、お客様と対面で売買ができるイベント(フェス)や、運営スタッフとのコミュニケーションを取れる勉強会、作家同士の交流もできるアトリエを開催していることがあります。こういったリアルイベントは、基本的に各サイトに販売者として会員登録をしているハンドメイド作家が対象となります。
リアルイベントに参加するメリットは、ハンドメイドが好きな人との交流の輪を広げられること。インターネット上での売買だけだと、お客様や他のハンドメイド作家、運営スタッフとの交流がほとんどないので孤独を感じることがありますが、リアルイベントなら同じ分野に関心のある人と直接 会って話せるので、創作の良い刺激を受けられます。
ハンドメイドマーケットで売るデメリット
ハンドメイドマーケットには「集客力」という絶大なメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
これらが原因で、「売りにくい」「使いにくい」と不満に思うことがあります。1 つずつ説明していくのでチェックしていきましょう。
他の作家と比較されやすい
複数のハンドメイド作家から構成されているハンドメイドマーケットは、毎日 膨大な数のハンドメイド作品が出品されています。人気のジャンルだと新作に埋もれやすく、その中から自分の作品を見つけてもらうのは大変。埋もれないためには、サイト内検索などでヒットするように商品名や説明文を工夫するなどの努力が必要となります。それでも埋もれてしまうようなら、ハンドメイドマーケット内で広告を出稿して集客しなければなりません。
また、自分のページ内に他の作家がつくった似たような作品が表示されてしまうため、クオリティや価格などの面で比較されやすいのもハンドメイドマーケットのデメリット。せっかくお客様が訪問してくださったのに、自分のページ経由で他の作家のページに流れてしまう、ということが起きるのです。ライバルが多いのがハンドメイドマーケットですので、他の作家との差別化ができていないと、売るのは難しいかもしれません。
配送方法が用意されていない
フリマアプリでは、ヤマト運輸や日本郵便と提携したオリジナルの配送方法が利用できます。たとえば、メルカリでは「らくらくメルカリ便」「ゆうゆうメルカリ便」などが用意されており、配送料が一般価格よりもグッと安く、匿名配送にも対応しています。
フリマアプリを使い慣れている人には当たり前の機能に思えるかもしれませんが、ハンドメイドマーケットではオリジナルの配送方法が用意されていないことの方が多いです。そのため、作品の大きさや重さなどにあった配送方法を調べて、自分で手配しなければなりません。個人だと利用できる配送方法は限られますし、フリマアプリのように全国一律料金ではなかったりします。匿名配送も利用できません。このように、配送の手配に関しては完全に販売者 任せになっているのがハンドメイドマーケットのデメリットです。
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売上の入金スパンが長い
ハンドメイドマーケットで売った作品の売上は、すべて事務局側に預けています。この売上は、締め日の時点で一定条件(金額など)を満たすと、後日、指定の口座に振り込まれるようになっています。
振込の締め日はサイトごとに異なりますが、「月末締めの翌月末振込」や「振込申請日の翌月末振込」となっているケースが多く、売上があった日から振り込みがされるまで最長で 2 ヶ月もかかることがあります。一般的なフリマアプリだと、好きなタイミングで振込申請ができ、申請した日から翌営業日か翌々営業日に振り込まれるので、ハンドメイドマーケットの入金スパンがいかに長いかがわかるでしょう。
ハンドメイド販売では売上を次の作品の製作費にあてたいので、特に資金が少ない初心者のうちは、この入金スパンの長さに悩まされることがあります。
人気ハンドメイドマーケット 3 社の特徴
ハンドメイドマーケットといえば、テレビ CM やメディア掲載も多い「minne」が人気ですが、このほか「Creema」や「iichi」といったサービスも根強い人気を持ちます。
一見するとどれも似たようなサービスに思えますが、実際に利用してみると、出品されている作品のレベル(クオリティ)や価格帯、客層に違いがあることが分かります。また、プロや職人として生計を立てて売っているか、セミプロとして副収入を得るために売っているか、といった登録作家のスタンスも違います。
ここでは、「minne」「Creema」「iichi」の特徴を紹介するので、ハンドメイドマーケットごとの違いをしっかりと理解し、あなたの作風やターゲットとする客層、あるいは自分のスタンスにマッチしているサービスを選びましょう。
1. 国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」
サービス名 | minne |
出店料・出品料 | 無料 |
販売手数料 | 10.56%(税込) ※作品価格+購入オプション価格+送料 |
振込手数料 | 一律220円 |
入金サイクル | 月末締めの翌月末振込 |
minne(ミンネ)は、2012年にサービスを開始した国内最大級のハンドメイドマーケット。作家・ブランド数 89 万件、作品数 1,687 万点、アプリダウンロード数 1,454 万件以上、累計流通額 1,000 億円以上(2023年11月時点 / 参考資料:Google Play)。
注文平均単価は 3,901 円(2023年3Q時点 / 参考資料:GMOペパボ株式会社)。これに対して、「Creema」の平均取引単価は 5,628 円(2024年2Q時点 / 参考資料:株式会社クリーマ)。minne の平均単価の低さは、商品単価の低さや購買層の若さ、作家のスタンス(アマチュアやセミプロが多い)が関係していると推察します。
minne の特徴は、物品(商品発送がともなう有形の商品)以外にも、ダウンロード販売(無形の商品)も可能であること。イラストや写真といったデジタルアートのほか、作り方やノウハウを伝授するレッスン動画などの販売もできます。また、アンティーク・ヴィンテージのアイテムの販売も可能。
販売手数料は 10.56%(税込)。他のハンドメイドマーケットやフリマアプリと比べても平均的な数値です。ただし、「作品価格」や「購入オプション価格」だけでなく、「送料」も含めた注文金額の合計に対してかかる点が他のハンドメイドマーケットとは異なります。なお、販売するジャンルによって販売手数料が変わることはなく、フードやダウンロード販売なども 10.56% となっています。
minne の良いところは、ヤマト運輸と連携しているためオリジナルの配送方法が利用できること。「らくらくミンネコパック」と呼ばれる配送サービスを利用すれば、送料が個人利用よりも割安になったり、全国一律料金になったりします。さらに、お互いの住所や氏名を知ることなく取引ができる「匿名配送」にも対応しています。
その他、商品説明を AI で自動生成したり、不快な購入者をブロック できたりと、作家活動を支援する便利な機能が多数あります。
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2. ハンドメイドマーケットの先駆者「Creema」
サービス名 | Creema |
出店料・出品料 | 無料 |
成約手数料 | 作品・素材:商品金額の11%(税込) フード:決済総額の15.4%(税込) 台湾、香港サイトでの販売:決済総額の21%(税込)+ 42円(税込) |
振込手数料 | 合計金額3万円未満:176円 合計金額3万円以上:275円 PayPay銀行は55円 |
スピード振込手数料 | 振込対象金額の3.56%(税込) |
入金サイクル | 振込申請した月の翌月末振込 ※スピード振込利用時は申請の翌営業日 |
Creema(クリーマ)は minne に並ぶ国内最大級のハンドメイドマーケット。サービス開始は「メルカリ」や「minne」などよりも早い 2010年5月。インターネット上で個人間が手軽に売買できる仕組みをいち早く展開しています。
登録クリエイター数 26 万件、作品数 1,645 万点、アプリダウンロード数 1,440 万件以上、平均取引単価は 5,628 円(2024年2Q時点 / 参考資料:株式会社クリーマ)。
minne と比べると、作品数やアプリダウンロード数はほぼ同等ですが、クリエイター数(販売者数)が少ない割に平均取引単価がかなり高い傾向にあります。このことから、Creema に登録している作家はアマチュアは少なく、セミプロやプロが中心となって活躍し、作品のクオリティが高く高価格帯で販売していると推察します。また、利用者の年齢層は minne よりも高く、年収が高い、あるいはクオリティにこだわる大人が集まるサイトだと言えます。
Creema の特徴は、スピード振込が利用できること。通常、売上は振込申請をした月の翌月末に指定の口座に振り込まれます。これだと、月初に売上があったとしても、振込までに最大 2 ヶ月もかかってしまいます。スピード振込は、この振込までの日数を短縮する機能。希望すると、申請した日の翌営業日に振込をしてくれます。手数料として振込対象金額の 3.56%(税込)がかかりますが、入金サイクルを早められるので資金繰りに悩まされなくなります。
成約手数料(販売手数料)は、商品金額の11%(税込)。minne よりも若干 高い設定ですが、Creema は成約手数料の対象範囲に送料が含まれていないので、実際の手数料は同じくらいか、あるいは Creema の方が安くなります。ただし、フードカテゴリーの成約手数料は、決済総額の 15.4%(税込)と高めに設定されているので注意が必要です。
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3. ハイクオリティな作品群で独自の世界観を確立する「iichi」
サービス名 | iichi |
出店料・出品料 | 無料 |
成約手数料 | 作品代金の20%(税込) |
振込手数料 | 一律160円 PayPay銀行は55円 |
入金サイクル | 月末締めの翌月20日振込 |
iichi(イイチ)は、2011年7月にサービスを開始したハンドメイドマーケット。登録ショップ数 18 万件、作品数 77 万点(2023年11月時点 / 当ブログ調べ)。
minne や Creema と比べると販売者数が少なめですが、一人ひとりの技術レベルが高く、ハイクオリティな作品が数多く並びます。実際にサイトを訪れてみると、販売者は職人・工房・デザイナーといったプロが多いことがすぐに分かるでしょう。また、他のハンドメイドマーケットは女性作家の比率が多いように見受けられますが、iichi に関しては男性作家も少なくない印象です。
購買層は 30 代~ 50 代で、都市部に在住している本物志向を求める人、といった印象です。成約手数料は、作品代金の 20 %(税込)。他のハンドメイドマーケットと比べると高めですが、あなたの作品イメージとターゲットとする人に iichi がマッチしているなら間違いなくおすすめできます。
ハンドメイドマーケットの選び方
ハンドメイドマーケットは、どのサイトも簡単に無料で出品ができるようになっています。取引の流れも同じですし、基本的な使い勝手にも大きな違いはありません。ただ、次の 4 点には大きな違いがあります。
これらの違いをよく知らなくても販売はできます。ですが、販売をはじめてから困ることが多いです。どういった違いがあるのか比較して、納得したうえでハンドメイドマーケットを選びましょう。
販売手数料の安さで選ぶ
販売手数料(成約手数料)は、ハンドメイド作品が売れるたびに発生し、売上から数パーセントの代金が引かれます。この掛け率はハンドメイドマーケットごとに異なります。販売手数料の掛け率が高ければ、それだけ手元に残る売上が減るわけですから、安い方が利益を圧迫せずに済みます。
「minne」「Creema」「iichi」の販売手数料の掛け率は、次のようになっています。
サイト名 | 販売手数料 | 3,000円で売ったときの 販売手数料(送料は考慮せず) |
minne | 10.56%(税込) ※作品価格+購入オプション価格+送料 |
316円 |
Creema | 作品・素材:商品金額の11%(税込) フード:決済総額の15.4%(税込) 台湾、香港サイトでの販売:決済総額の21%(税込)+ 42円(税込) |
作品・素材:330円 フード:462円 台湾、香港サイトでの販売:672円 |
iichi | 作品代金の20%(税込) | 600円 |
フード以外のハンドメイド作品を売る場合、minne と Creema の販売手数料はほぼ同じです。minne は販売手数料の対象範囲に送料も含まれるため(Creema は含まれない)、実際の販売手数料は Creema の方が安くなるケースもあります。とはいえ、僅差ですので気にするほどではありません。
フードを販売する際の販売手数料は、minne と Creema では大きく異なります。minne は 10.56%(税込)なのに対して、Creema は 15.4%(税込)。3,000 円のフードを売ると 146 円も差があります。
iichi の成約手数料は、他のハンドメイドマーケットよりも高い 20% 。同じハンドメイド作品を売っても、売上から引かれる手数料はおよそ 2 倍となります。
販売手数料は月商が高くなるほど高額になり、それが利益を圧迫するため、少しでも安いサイトを選びたいところ。とはいえ、販売手数料が安くても、そこにターゲットとするお客様がいなければ意味がありません。販売手数料だけで優劣を決めるのではなく、「自分のスタンスに合っているか」「ターゲットとする人がそこにいるか」といった基準でハンドメイドマーケットを選ぶようにしましょう。
作家のスタンスや客層で選ぶ
ハンドメイドマーケットを選ぶ際、「自分のスタンスに合っているか」「ターゲットがいるか」の見極めが重要です。
ハンドメイドマーケットはどれも似たように見えますが、それぞれ作家のスタンスやレベルが異なるため、そこに集まる人(購買層)も違ってきます。もし「自分のスタンス(レベル)に合っていない」「ターゲットがいない(ニーズがない)」サイトで出品してしまうと、売れないどころか見られもしません。販売手数料の安さなども大事ですが、自分に合っているかどうかもチェックしましょう。
minne は、アマチュアやセミプロの作家が中心となって活動しているハンドメイドマーケットです。もちろん、minne だけで生計を立てているようなプロもいますが、趣味の延長や副業としてハンドメイド販売をはじめた人の割合が多いように見受けられます。こういった駆け出しのハンドメイド作家は、Creema や iichi ではほとんど目にしませんし、全体的に見て、作品のクオリティも 2 社には及びません(決して minne のレベルが低いというわけではありません)。購買層は 20 代~ 30 代の女性客が 9 割以上(参考:minne 販売者登録マニュアル)で、Creema や iichi と比較して若い人が多いという印象を持ちます。
作家のスタンスや購買層の年齢は、注文平均単価にも表れています。minne の注文平均単価は 3,901 円(2023年3Q時点 / 参考資料:GMOペパボ株式会社)で、Creema の平均取引単価 5,628 円(2024年2Q時点 / 参考資料:株式会社クリーマ)よりも低くなっています。このことからも、minne の作家はアマチュアやセミプロが多く、購買層も若いと推察できます。
Creema の平均取引単価が高い理由は、作家のスタンスや購買層が minne とは違うためです。アマチュアやセミプロが多い minne に対して、Creema はセミプロやプロが中心となって活躍しています。購買層の年齢は minne よりも高く、目の肥えたお客様が多い印象です。
Creema は、minne のように出店者の間口を広げてアマチュアも参入しやすい環境をつくるのではなく、プロやプロを志向するクリエイターを基盤としたマーケットプレイスを目指しているのです。
実際に Creema のサイトを見てみると、 minne よりも商品単価が高い作品が多く目につくかと思います。「商品単価の高さ」は「クオリティの高さ」の現れですので、腕に自信のある、あるいは実績のあるハンドメイド作家さんが集まっているサイトだと言えます。また、お客様とのやり取りの中でも客層の違いを感じることがあります。Creema のお客様からは言葉の端々から丁寧さや上品さが伝わり、「ある程度 社会人経験を積まれた方なのだな」と感じ取れることが多いです。
iichi に関しては別格で、職人・工房・デザイナーといったプロレベルの販売者が中心となっています。モノづくりを本業としてやっている、あるいは十分な実績を積んでいる作家がほとんどで、趣味の延長でやっているような素人はいません。どの作品もハイクオリティで、商品単価も高め。購買層は 30 代~ 50 代で、都市部に在住している本物志向を求める人をターゲットにしている作家さんに向いています。
このように、ハンドメイドマーケットによって作家のスタンス(レベル)や購買層が異なるので、自分の実力やターゲットとする人物像と照らし合わせて選ぶようにしましょう。
匿名性で選ぶ
ハンドメイドマーケットを選ぶ際、匿名で販売できるかどうかもチェックしましょう。フリマアプリでは匿名での取引が当たり前となっていますが、ハンドメイドマーケットでは実名を公開しなければならないことがあります。
匿名で販売できるかどうかは、「特定商取引法に基づく表記」を非公開にできるか、「匿名配送」に対応しているかで判断できます。「minne」「Creema」「iichi」の対応状況は以下のようになっています。
サイト名 | 特定商取引法の非公開設定 | 匿名配送 |
minne | ○(非公開にできる) | ○(ネコポス / 宅急便コンパクト / 宅急便) |
Creema | ×(非公開にできない) | ×(匿名配送できない) |
iichi | ×(非公開にできない) | ×(匿名配送できない) |
「特定商取引法に基づく表記」は、消費者トラブルが生じないようにルールを定めた法律で、ガイドラインで定められている「販売業者」に該当する場合は、事業者情報を掲載しなければなりません。この表記には「販売業者」「所在地」「電話番号」が含まれており、自宅でハンドメイド販売をしているなら、自宅の住所や電話番号を公開しなければなりません。
minne は「特定商取引法に基づく表記」を非公開にできます。非公開にすることで、所在地と連絡先をサービス側の情報に置き換えることができます(「販売業者」は非公開にできません)。また、minne は匿名配送にも対応しているので、購入者に自宅の住所や連絡先を教えることなく取引ができます。
Creema と iichi は非公開設定ができないので、販売者の氏名や住所、連絡先が誰でも見れる状態になっています。匿名配送にも対応していません。店舗を持っている人なら住所や連絡先を公開しても構わないかもしれませんが、副業で販売している人だと、プライベートな情報を公開するのには抵抗があるかと思います。ですので、匿名性を維持した状態で販売を続けたいなら、プライバシーに配慮されている minne がおすすめです。
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ハンドメイド作品を匿名配送できる個人間取引サイト7選
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情報量の多さで選ぶ
ハンドメイドマーケットで販売していると、サイトのシステムやお客様とのやり取りで分からないことが出てきます。分からないことは運営スタッフに聞けば解決できますが、回答には時間がかかりますし、質問の内容によってはこちらの求める答えが返ってこないこともあります。そういったときに頼りになるのが、インターネット上の情報です。公式ガイド(Webマニュアル)のほか、個人ブログや YouTube などでも解決策を見つけることができます。
情報量の多さはハンドメイドマーケットによって偏りがあります。もっとも充実していると感じるのは minne です。公式ガイド(minne ヘルプとガイド)は掲載されている項目が多いですし、1 つ 1 つの疑問に対して詳しい回答が記載されています。一般的な疑問でしたら、このガイドを見れば解決ができるでしょう。
minne は登録している作家の数も多いため、個人ブログや YouTuber による情報も豊富です。公式ガイドに掲載されていない、あるいは掲載できないようなリアルな悩みでも、検索すれば大抵のことは解決できます。minne 公式の書籍も発売されているので、「しっかり学びたい」という方も情報を得やすいです。
Creema や iichi に関しても公式ガイドは用意されているものの、minne より掲載されている項目は少ない印象です。説明も全体的に簡素で物足りなく感じます。インターネット上で情報発信している人も少なく、検索してもなかなか見つかりません。調べ物をしていて解決できないことが多いので、困ったら問い合わせるか、自分で解決するしかありません。
このように、ハンドメイドマーケットごとに情報量の差があります。情報量の多い少ないだけでハンドメイドマーケットは決められませんが、予備知識として「どのくらい解決策が用意されているか」を販売前に知っておくことは大切です。
おすすめのハンドメイドマーケットは?
ハンドメイドマーケットはどれも似たように見えますが、サイトごとに登録作家や作品群に偏りがあります。初心者が多くカジュアルな作品が多いサイトもあれば、プロがつくったハイクオリティな作品しか集まらないサイトもあります。売り手や並ぶ品々が違えば、そこに集まる客層も違い、求められるクオリティも異なります。ですから、自分の実力に見合ったハンドメイドマーケットを選ぶことが大切です。
ここでは、「minne」「Creema」「iichi」に登録している作家や作品の傾向を分析し、それぞれがどんなスタンスで取り組む人に向いているハンドメイドマーケットなのかをご紹介しています。自分の作品や経験と照らし合わせて、今の実力にもっとも近いと思うハンドメイドマーケットを選んでみてください。
初心者におすすめは「minne」
これからハンドメイド作家としての第一歩を踏み出す方には、ハンドメイドマーケット「minne」がおすすめです。
minne は、サービス開始当初から他のハンドメイドマーケットよりもテレビ CM やインターネット広告などの宣伝活動を勢力的におこなっており、新規ユーザーの獲得に力を入れています。その結果、後発のハンドメイドマーケットでありながら、登録している作家数は競合の中ではもっとも多い 89 万件となっています(Creema の 3 倍以上)。現在も登録作家は増え続けているので、ハンドメイド販売をはじめたばかりの人が多いのが minne の特徴です。
minne が新規ユーザーの獲得と同時に力を入れているのが、ハンドメイド作品をはじめて売る人へのサポート。具体的には、公式ガイド「minne ヘルプとガイド」でこれから販売をはじめる人に向けた実践的なノウハウを提供したり、YouTube チャンネル「minne LAB」で販売者のリアルなお悩みに応えたりと、初心者が見ると非常に勉強になる情報を公式が自ら発信しています。また、初心者が躓きがちな部分を重点的に解説している 公式本 も発売しています。サポートを疎かにすると獲得したユーザーを逃してしまうので、こういった登録後のケアを徹底するのは当然と言えば当然ですよね。
minne は機能面でも初心者を支援する試みが充実していると感じます。たとえば、作品のタイトルや説明文、SNS の宣伝テキストなどを自動生成する「minne AI アシスタント」機能や、不快なユーザーを「ブロック」する機能、販売者の個人情報を公開することなく発送できる「匿名配送」に対応するなど、販売に慣れていない人も安心して取引ができるように考えられています。
このように、minne は初心者でも売りやすくする工夫を徹底しています。「副業でスタートさせたい」「まだ手芸歴が浅い」という方は、まずは minne でハンドメイド販売をはじめてみてください。
セミプロ・プロにおすすめは「Creema」
「minne などである程度の販売実績がある」「作品のクオリティには自信がある」という方には、ハンドメイドマーケット「Creema」がおすすめです。
Creema は、セミプロやプロとして活動している作家が多いハンドメイドマーケット。購買層の年齢は minne よりも高く、目の肥えたお客様が多い印象。
平均取引単価は 5,628 円(2024年2Q時点 / 参考資料:株式会社クリーマ)と高め。minne は 3,901 円(2023年3Q時点 / 参考資料:GMOペパボ株式会社)ですから、およそ 1.5 倍も高くなっています。ハンドメイドマーケットは他の作家と価格面などで比べられやすいという性質を持ちますが、平均取引単価が高ければ、周りの値段にあわせて本来よりも安い価格で売ることを強いられにくくなります。
逆に登録作家数は少なめで、minne の 89 万件に対し、Creema は 26 万件。およそ 3.5 倍もの差があります。「作家が少ない」ということは、それだけ「ライバルが少ない」ということ。新作や人気作に埋もれにくく、お客様の目にとまりやすいです。
セミプロやプロのハンドメイド作家さんは、取引単価が高くライバルが少ないハンドメイドマーケットの方が圧倒的に売りやすいと思うので、「作品のクオリティに自信があり、目の肥えたお客様も満足させられる」という方は、ぜひ Creema で売ってみてください。
プロ・職人におすすめは「iichi」
「モノづくりを本業としてやっている」「十分な販売実績がある」という方には、ハンドメイドマーケット「iichi」がおすすめです。
iichi は、職人・工房・デザイナーといったプロレベルの販売者が集まるハンドメイドマーケットで、ハイクオリティな作品が多く並びます。広告費をかけて多くのユーザーを集めるというよりも、「品質の高い作品だけを集めることでお客様の満足度を高め、確実にリピーターになってもらう」というスタンスが伝わります。
登録ショップ数は、Creema よりも少ない 18 万件(2023年11月時点 / 当ブログ調べ)。登録は誰でもできますが、求められる作品のクオリティが高くアマチュア作家には手の出しにくいサイトなので、競合他社が少なくなっています。そのため、他のハンドメイドマーケットのように「職人の技術が高く商品力があっても他の作品に埋もれる」「価格面で比較されやすい」といった現象が起きにくいのが特徴です。
購買層は 30 代~ 50 代で、都市部に在住している本物志向を求める人。minne や Creema だとこういった購買層が少なく、自分で集客しようと思っても難しいものがあります。iichi なら、クラフト愛の強いお客さまがピンポイントで集まるので、届けたい人と出会い、つながることができます。
成約手数料は 20% と高い設定なのがネックかもしれませんが、2011年のサービス開始から今もなお多数の作家が iichi で活動を続けているのは、それを上回るメリットを感じている証でもあります。「手数料が高いから」と諦めてしまうと質の高いお客様を獲得するチャンスを逃してしまうので、本物志向を求める買い手に作品を届けたいのであれば、ためらわずに iichi でハンドメイド作品を売ってみてください。
まとめ
ハンドメイドマーケットは、ハンドメイド作品を「売りたい人」と「買いたい人」をインターネットを介してつなぐサービスです。数あるハンドメイドマーケットの中でも人気があるのは「minne」「Creema」「iichi」の 3 社。それぞれ、登録している作家のスタンス(レベル)、作品の価格帯やクオリティ、客層などに違いがあります。さまざまな部分で違いがあるので、どれが良いか悪いかではなく、自分に合っているかを基準にして選ぶことが大切です。この記事を参考に、「自分に合っているな」と思うハンドメイドマーケットを見つけてくださいね。
ハンドメイド売るなら「BASE」
ハンドメイド作品を売るなら
開設実績 6 年連続 No.1 の「BASE」。
ハンドメイドマーケットのように
他の作家が表示されないから
価格面などで比較されない。
販売手数料はグッと安く、
入金スパンがギュッと短い。
匿名配送にも対応。