ハンドメイド作品をネットやイベントで売るなら、さまざまな法律や出品サイトの利用規約を守って、正しく販売する必要があります。
ほとんどのハンドメイド作家さんは法律やルールをきちんと守っていますが、中には知らずに「違法」「利用規約違反」となる禁止行為をしてしまっている方もいます。
この記事では、ハンドメイド販売でやってしまいがちな10の禁止行為をご紹介しますので、これから販売する初心者さんも、すでにハンドメイド作家として活動している方も、しっかりチェックしておきましょう。
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動画解説
本記事の内容は、動画でもわかりやすく説明しています。本記事とは少し内容が異なりますが、あわせてご覧いただくことで、より理解が深まります。ぜひご覧ください。
禁止行為1:他人のハンドメイド作品をマネする
ハンドメイド作品を販売するなら、その作品が「オリジナル」でなければなりません。
「オリジナル」とは、何もないところから独自にイメージを膨らませてつくったモノのこと。他のハンドメイド作家さんの作品をマネしたり、書籍やネットに掲載されているハンドメイド作品をマネして販売するのはNG。安易にマネをすると、「盗作だ」と非難されたり、権利侵害として訴えられることもあります。
関連記事:こんな作品は違法!ハンドメイド販売で知っておきたい著作権について
もちろん、他のハンドメイド作家さんの作品や、書籍の作り方を参考にするのはOK。ですが、販売するなら、誰かのマネではない、オリジナリティある作品でなければなりません。
禁止行為2:マリメッコやキャラクター生地を使う
ハンドメイド作品はオリジナルでなければなりませんが、作品に使用する素材にも注意。
「マリメッコ」といったデザイナーズファブリックや、ディズニーなどが描かれている「キャラクタープリント」の生地は、商用利用が禁止されています。
関連記事:マリメッコ生地のハンドメイド作品は販売できる?代理店に聞いてみた
ハンドメイドマーケット「minne」にも以下のように記載されています。
権利侵害の恐れがあるため、キャラクターがプリントされている生地や素材を使った作品、またはそれ自体の販売・展示は禁止しております。
商用不可の生地でハンドメイド作品をつくり、無断で販売すると、著作権の侵害となります。著作権を侵害した場合、10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金など、重い刑事罰が科せられます。
ハンドメイド作品に使用する素材を探すときは、その素材が商用利用できるか?をよく確認しましょう。生地であれば、生地の耳に「この生地で製品化することを禁じます」と記載されていたり、著作権マークがついています。
商用利用できる生地は、『【商用利用可】ハンドメイド販売で安心して使える生地が買える通販5選』でご紹介しているので、バッグなどのファブリック類を販売する方はこちらから購入すると安心です。
禁止行為3:タイトルや商品説明にブランド名を記載
ハンドメイドマーケット「minne」やフリマアプリ「メルカリ」に出品するとき、ハンドメイド作品のタイトルや説明文を自分で考えて入力します。
入力した内容は閲覧数に大きく影響しますが、知的財産権を侵害しないように注意が必要です。
知的財産権とは、創作した人の財産を保護するための権利のこと。タイトルや商品説明に、作品とは関係のないブランド名やキャラクター名を記載すると、知的財産権を侵害することとなります(そのブランドの不用品を売るときは例外)。
たとえば、北欧柄のバッグを販売するとき、タイトルに「マリメッコ 好きな方」などと記載すると、知的財産権の侵害となります。
メルカリShopsのガイドでも、『商品名や商品説明に、商品とは無関係のブランド名やキャラクター名(類似するブランド、キャラクターも含む)を記載すること』を、他人の権利・利益を侵害する可能性のある行為として禁止しています。
参考リンク:メルカリShopsガイド
過去に、ハッシュタグにブランド名を記載して出品した女性が、商標権侵害という判決を下されたケースもあります。タイトルや商品説明、ハッシュタグにブランド名を記載すると閲覧数が伸びる可能性はありますが、訴えられては意味がありません。注意しましょう。
関連記事:ハンドメイド品にブランド名のハッシュタグは違法【判例あり】
禁止行為4:「定形外郵便は補償がありません」の記載
ハンドメイド作品の配送方法に「定形外郵便」を選択肢に入れる場合、商品説明に「定形外郵便は補償がありません」と記載するのは禁止されています。
なぜなら、こういった配送に関する免責の記述は、各ハンドメイドマーケットやネットショップの利用規約に違反するためです。
たとえば、ハンドメイドマーケット「minne」には、以下のような利用規約(第18条)があります。
販売者等は、作品に関し、当社が購入者からクレーム等を受けた場合、自己の責任においてこれに対応するものとします。
出典:minne 利用規約
ネットショップ「メルカリShops」でも、以下のような利用規約(第16条)があります。
ユーザー・出店者間又はユーザーと第三者間で発生したトラブル(本サービスを将来利用するという前提の下で起こったトラブルを含みます。)に関して、ユーザーは各自の費用及び責任で解決するものとします。
「定形外郵便は補償がありません」といった記述は、「配送トラブルがあっても、私は責任を負いません」という意思表示とみなされ、これは利用規約違反に該当します。
定形外郵便は、安く発送できる反面、補償や追跡がありません。万が一、配送中に破損したり、紛失したりしても、その責任を負うのは、定形外郵便を配送方法の選択肢に入れたあなたです。補償がない配送方法でも、配送トラブルがあった場合、発送した人(販売者)が責任をもって対応しましょう。
個人的には、定形外郵便ではなく、少し高くても補償や追跡サービスがある「ネコポス」や「クリックポスト」などの配送方法を選択することをおすすめします。
関連記事:ネコポスのダンボール箱はどこで買える?コンビニや100均を徹底調査
禁止行為5:「ノークレーム・ノーリターン」の記載
ネット販売においては、お客様とのトラブルを避けるためにも、きちんと注意書きを記載する必要があります。注意書きを書くことで、ある程度のトラブルは避けられます。
この注意書きに「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」と記載するのは、販売サイト側で禁止されています。minneやメルカリで記載している人を見かけますが、マネしてはいけません。
たとえば、ハンドメイドマーケット「minne」のガイドでは以下のように明記されています。
「ノークレーム・ノーリターン」のような記述はお問い合わせや返品を受け付けない意思表示となるため記述できません。
ネットショップ「メルカリShops」のガイドでも以下のように明記されています。
メルカリShopsでは「消費者の保護に欠ける行為」を禁止しています。
「消費者の保護に欠ける行為」とは、以下に該当するものを指します。
商品に問題があっても返品に応じないという記載をすること出典:メルカリShopsガイド
そもそも、売っておいて「返品やクレームは一切 受け付けない」という販売スタンスには問題があります。
注意書きは、「ノークレーム・ノーリターン」といった適当な一文ではなく、作品ごとに適切な文章を考えて記載しましょう。
禁止行為6:他の販売販路への誘導
ハンドメイド作品を出品できるサイトやアプリはさまざまあります。複数のサイト・アプリへの出品は問題ありませんが、ある販売経路から、他の販売経路への誘導を促す行為は禁止されています。
メルカリShops以外の販売経路へ誘導する行為は禁止しています
出典:メルカリShopsガイド
ハンドメイドマーケット「Creema」でも、『他の販売サイトのURLを記載すること(リンクの貼付け、URLの記載等)』を禁止しています。
参考リンク:Creema help
たとえば、ネットショップ「メルカリShops」のプロフィール画面に、ハンドメイドマーケット「Creema」のリンクを張ると、ユーザーがCreemaで購入する可能性が出てきます。この状況はメルカリShopsの損失となります。ですので、他の販売経路への誘導は禁止されています。
禁止行為7:モデルを依頼して撮影し、その写真を二次利用する
アクセサリーやバッグなどのハンドメイド作品を販売している方は、着用イメージを撮影するとき、プロや知人にモデルをお願いすることがあるかと思います。
モデルを依頼した場合、その写真のモデル本人には「肖像権」が発生します。肖像権は芸能人だけでなく一般人にも適用される権利です。
肖像権とは、本人の許可なく自分の顔または体を撮影されたり、公表されたりしない権利のことです。
そのため、たとえお金を払ってモデルを依頼したとしても、モデル本人には肖像権があるので、本人の許可なしに二次利用するのは違法となります。肖像権の侵害が認められた場合、損害賠償を請求されることがあります。
たとえば、「ハンドメイドマーケットに掲載したいので、モデルをお願いします」と依頼したのにも関わらず、InstagramといったSNSに勝手に投稿すると、二次利用とみなされる可能性があります。
モデルをお願いする場合は、使用範囲を両者で決めておき、それを超えない範囲で使用しましょう。
禁止行為8:撮影を他人に依頼し、その写真を二次利用する
ハンドメイドマーケットやネットショップに掲載したい商品写真を、撮影のプロやカメラに詳しい知人に依頼することがあるかと思います。
撮影を依頼した場合、その写真の「著作権」は、撮影した人にあります。たとえお金を払って撮影を依頼したとしても、権利は撮影者にあるので、撮影者の許可なしに二次利用するのは違法となります。
たとえば、「ネットショップに掲載したいので、撮影をお願いします」と依頼したのにも関わらず、「SNS」や「チラシのイメージ写真」にまで無断使用すると、二次利用とみなされ、違法となる可能性があります。
依頼前に利用範囲をよく確認し、その範囲を超えないように注意しましょう。また、権利ごと買い取ることも検討すると良いです。
禁止行為9:手紙を添えて宅配便で発送
ハンドメイド作品を「ネコポス」や「宅急便コンパクト」といった宅配便で送るとき、注意したいのが、同封する「お礼の手紙」。
「ご購入ありがとうございます」などのメッセージを書いた手紙を添えるハンドメイド作家さんも多いと思いますが、宅配便に手紙を添える行為は違法で、罰則が適用される恐れがあります。
郵便法4条3項によると、
運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。
と規定されていて、手紙などの信書を郵便ではなく、宅配便で送ることは法律で禁止されています。
郵便法第4条に違反すると、送った人(ハンドメイド作家)はもちろん、宅配業者も処罰される可能性があります。罰則は3年以下の懲役、または300万円以下の罰金となっています。
ただし、郵便法4条3項には『貨物に添付する無封の添え状、または送り状はこの限りでない』の記載があるので、荷物の中身(ハンドメイド作品)と関係のある、簡潔なメッセージカードを、封をしないで添えるのであれば問題にはなりません。
たとえば、「ご購入ありがとうございます」と書かれたメッセージカードを、封をしないで同封するくらいなら違法にはなりません。
関連記事:ハンドメイド作品に手紙などの「信書」を添えて宅配便で送ると違法?
禁止行為10:販売後にお客様にDMを送る
ハンドメイドマーケットやネットショップでハンドメイド作品が売れると、購入者の氏名や住所、連絡先などが分かります(匿名配送を除く)。
販売時に知り得た購入者の個人情報は、本人の同意なく、目的以外で利用してはなりません。「目的」とは、ハンドメイド販売においては、作品の発送などの取引やお問い合わせ対応に関するやりとりを指します。目的以外で無断利用すると、個人情報保護法に違反します。
参考リンク:個人情報保護法等
たとえば、ハンドメイド作品をminneで買ってくれたお客様に対し、後日、別の商品の案内やイベントの告知が記載されたDM(ダイレクトメール)を、本人の同意なく送ると、個人情報保護法違反になります。
このことは、minneの利用規約(第22条)にも記載があります。
販売者等は、本サービスを通じて知り得た購入者の個人情報を、当該購入者が購入した作品の当該購入者への送付及び購入した作品又は送付に関する購入者への連絡(イベントの告知等、当該購入者が購入した作品の売買契約に直接関連しないものは除きます。)その他当社又は購入者から明示的に同意を得た目的以外の目的で利用してはならないものとします。
出典:minne 利用規約
購入後に、取引に関する以外のことで連絡する場合は、あらかじめ本人の同意を得ているかを確認しましょう。
まとめ
この記事でご紹介した、ハンドメイド販売で初心者が特に注意すべき禁止行為は次の通り。
なお、この記事でご紹介した禁止行為は代表的なもので、まだまだ気を付けるべきことはたくさんあります。禁止行為は各販売サイトのヘルプや利用規約でも確認できるので、出品前によく確認すると良いでしょう。
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