商品写真を撮影する際、背景を目立たなくするために「背景紙」を敷きます。背景を隠せればどんな紙でも使えますが、同じ紙でも素材や厚みが異なるため、商品の見え方や扱いやすさにかなりの差があります。
この記事では、撮影の背景としてよく使われる紙を4つご紹介しています。それぞれの特徴についてもご紹介しているので、撮影用の背景紙を探している方は、ぜひご参考にしてください。
-
商品写真をもっと快適に楽しく撮影するための便利な小道具7選
今すぐ読む
撮影の背景に「紙」を使うメリット
商品撮影で商品を置く紙のことを「背景紙」と呼びます。背景紙を使用しないと、撮影台に使用するテーブルの天板や、部屋の様子や壁などが商品の後ろに写り込んでしまいます。余計なものが写ってしまうと商品が目立たなくなるため、商品の背景に背景紙を敷きます。
撮影では、紙に限らず布を背景にすることもありますが、布はアイロンがけが必要になり手間です。汚れたら洗濯する必要もあります。布の質感が商品に合わないこともあります。
その点、紙であればアイロンがけが不要で、汚れても切って捨ててしまえばいいので、メンテナンスの手間がかかりません。もちろん、丁寧に扱えばすぐに捨てることはなく、長く使用できます。安価で入手しやすいものが多く、色や大きさもさまざまあります。紙は便利で効率がいいので、撮影時は背景紙を使用しましょう。
撮影におすすめの背景紙
撮影の背景として使える紙には、
などがあります。
どれも同じ紙ですが、素材や光の反射率が異なるので商品の見え方が変わります。紙の厚みやコシも違うため、扱いやすさ(シワになりやすいかなど)に差があります。
それぞれの特徴をご紹介していきますので、自分にあった紙を背景に選びましょう。
1. ケント紙
ケント紙の特徴は次の通り。
- 厚手で丈夫
- 表面がツルツルしている
- 光の反射が良い
撮影の背景によく使われるのが「ケント紙」。画材として使われる紙の一種で、表面には にじみ止めのためのコーティングがされており、表面の凹凸が少なく滑らかなのが特徴。
ザラザラした画用紙よりも光の反射が良く、適度な弾力性と厚みを持っているため丈夫です。
ケント紙が買えるお店は、大型のカメラ店や画材店、画材の取扱いがあるホームセンター、大型の文房具店です。通販サイトでも購入ができるので、近くのお店にケント紙が売っていなければ通販が便利です。
2. 背景シート
背景シートの特徴は次の通り。
- 厚手で丈夫
- 表面がツルツルしている
- 光の反射が良い
- 色、柄、質感が豊富
背景シートは、撮影の背景用として開発された紙。オーソドックな無彩色のものから、華やかな色付きのもの、木目調やコンクリート調のプリントペーパー、革のような質感を再現するためにエンボスが施されたペーパーなど、幅広いラインナップがあるのが背景シートの特徴。
背景シートにもいろいろありますが、一般的に厚手で丈夫。光の反射が良く、キレイに写るようにつくられています。
雑貨店や紙の専門店に行くと、さまざまな背景シートを見ることができます。同じ色でも、銘柄によって異なったり、風合いも多種多様。商品を引き立てる背景シートを探してみると良いでしょう。
3. 画用紙
画用紙の特徴は次の通り。
- 安価で入手しやすい
- やや厚みがある
- 表面がザラザラしている
- 光の反射が悪い
- サイズや色が豊富
画用紙は、絵を描くのに使うやや厚い紙です。画用紙は安価なものが多く、手に入りやすいのがメリット。色も豊富なので、商品写真のイメージにあわせた撮影背景が選べます。
ただし、ざらざらした質感が出たり、ケント紙に比べると光の反射が悪かったりします。
画用紙は、小さいサイズでしたら100均で入手ができます。色も豊富です。大判サイズは、画材店や画材を取り扱っているホームセンター、大型の文具店で取り扱いがあります。
4. 模造紙
模造紙の特徴は次の通り。
- 大判サイズ
- 安価で入手しやすい
- 薄く天板などが透けやすい
- 厚みがなくシワになりやすい
模造紙とは、製図や掲示物の作成で用いられる、大判の紙のこと。小学校の自由研究で使用した方も多いのではないでしょうか。
模造紙は安価で入手しやすいものの、紙の厚さが薄いため撮影台として使用するテーブルの柄や色が透けてしまいます。紙にコシがなくシワになりやすく、撮影時にそのシワが目立ちやすいのが欠点です。
模造紙は大判のものでも100均で手に入ります。「大きな背景紙がほしい、けどお金はかけたくない」という方は、まず模造紙を背景にしてみると良いでしょう。
-
100均でハンドメイド作品の撮影環境を整える方法
今すぐ読む
背景紙の敷き方
背景紙の敷き方には、
などがあります。
一般的によく使われる敷き方が「背景紙を立ち上げる」ですが、商品の大きさやカメラのアングルによっては、「撮影台に敷くだけ」でも背景は足ります。雰囲気を変えたいときは、「壁に貼る + 撮影台に敷く」のも良いでしょう。
撮影台に敷くだけ
高さの低い商品を撮影する場合や、カメラを「俯瞰(斜めのアングル)」「真俯瞰(真上からのアングル)」で構えるときに適した敷き方です。
-
商品写真を撮影するなら使い分けたい3つのカメラアングル
今すぐ読む
背景紙を立ち上げる
高さのある商品を撮影する場合や、カメラを水平に近いアングルで構えるときに適した敷き方です。立ち上げが必要になるため、大判サイズの背景紙が必要です。
立ち上げる際、背景紙を床に直角ではなく曲線を描くように敷くのがポイント。こうすることで、直角に敷いたときにできる奥行きの横線が出ず、商品が引き立ちます。
壁に貼る + 撮影台に敷く
背景紙を2枚つかい、1枚は壁に貼り、もう 1枚は撮影台に敷きます。
2色の背景紙を敷くのは上級者向けですが、このように敷くことで自然な印象に仕上がりやすく、初心者でも失敗が少ないです。
まとめ
商品を撮影するうえで、イメージを大きく左右するのが「背景紙」です。
白のケント紙を背景にすれば、商品を説明的に分かりやすく見せることができます。模様のある背景シートなら、その色や柄による印象の強い写真に仕上がります。
画用紙や模造紙は比較的 安価で入手しやすい背景紙ですが、厚みがなくシワになりやすいので、注意しながら扱いましょう。
-
自然光で魅力的な商品写真を撮るためのライティングの基本
今すぐ読む